あの頃を
今を必死に生きていたあの頃は、もうぼんやりとしか思い出せない。
僕は、どんな顔で笑ってたんだろう。
それを知る術なんかない。
当たり前だ。僕の笑顔は僕には見えない。
鏡を見ながら笑ってた訳じゃない。
でもきっと、それは誰の目から見ても輝いてた。
必死だったから。
必死になることはきれいなことだ。僕が身に纏う綺麗なものなんかとは違う、きれいなこと。
そして必死になることは、何よりも楽しかった。はずだ。もう忘れてしまったけど。
あの頃、遊んでいて楽しかったのは、僕が必死に遊んでいたからだ。
気づかなかった。今さら気づいてしまった。
もう気づかなかったほうがよかった。
懐かしくて寂しくて、どうにかなってしまう。
それが苦しくて仕方ない。
あの頃の僕。どんな顔で笑ってましたか。
もしよければ教えてください。
未来の君は、もう壊れたよ。
壊したくないなら、笑顔を忘れるなよ。