青薔薇ノ物語 #1
__何時しか、私の辞書からは、『希望』という単語が消え去っていた。
窓から差し込む日差しは、暖かいを通り越して暑くなってきた。きっとそれは夏だから。
最近見る空は、澄んだ青が多かった。きっとそれは梅雨の時期が過ぎたから。
独特な匂いの漂う部屋の窓際に、一人の少女がベッドに腰かけていた。ほとんどしわの無い真っ白なシーツの上には本人の性格を表すかのよう、一ミリの狂いもなく、数冊の本が積み重なっている。
新品なのか、傷の無い本の表紙に光が反射して、部屋の天井を照らした。と言っても昼間だから変化はないのだが。
少女が、文字がぎっしり印刷された書物から顔を上げる。その顔は幼く、何より人形のように白い。
しかし、雪のような肌のあちこちには、傷や痣が刻み付けられていた。