決意
お父さんなんか、意地悪だから嫌いだった。
お母さんにも意地悪だから許せなかった。
今年、6月、お父さんは入院した。
今までめちゃくちゃな生活してたから、当たり前。自業自得って思ってた。
そのあと、入退院を繰り返した。
オープンキャンパスに、お父さんと一緒に行った。内心、ついてくるなって思ってた。
10月。お父さんと喧嘩した。いつものことだけど。お母さんに愚痴ってた。いつものように。
「お父さんはね、あなたもわかると思うけどもう長くないの。あなたは受験があるから詳しいことは言わないけど、もう長く生きられないの。だから、わかってあげて…」
私は気づいた。なんて気づくのが遅かったんだろう。
そんなある日お父さんは、私に「お前の大学に一緒に行くことは、もう二度とないから…」
目を閉じてた。お父さんは泣いてたんだと思う。
ごめんね、お父さん。優しい娘じゃなくて。親孝行、なにもしてないね、私。
お父さん、わがままでごめんね、一つお願いがあります。春までは元気でいてください。
必ず合格するからさ、私ともう一度大学に行こう。引っ越しについてきて。
必ず連れていくから。待っててね。
お父さんはね、私の誇りなんだよ。お父さんみたいに、仕事を本気でやってる人になりたいよ。
ごめんね、ごめんね、待っててね。