-季節 ⅩⅡ-
見慣れた重い扉をゆっくりと開いた。
ギギギィィィ………
「おはようございます」
いつも通りの景色だ。
既に夏川くんが来ていて、桜尾さんと仲良く話していた。
「あっ…おはよう、白帆さん」
桜尾さんがいつも通りの笑顔で返してくれた。
それで気づいて夏川くんも
「おはようございます、唯さん」
と言ってくれた。
「今日も客、来ないねー」
桜尾さんがつまらなさそうに言った。
「いつもこんな感じなんですか?」
夏川くんが私に向かって言ってきた。
お互いに話しやすくなった。
(まだ一日しか経ってないけどね。)
「こんな感じです」
「へぇー」と、夏川くんもまたつまらなさそうに言った。
「やっぱり心が通じ合う人とは、すぐにわかりあえるんだよ」
桜尾さんがどこか遠くを見て静かに言った……。