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下町裏物語  一百鬼夜行編一

空が橙色に模様替えし、夜がインターホンを押す時刻の縁側
「ねぇおじいちゃん百鬼夜行って何?」
今年小学3年生になった雷太は言った 
「百鬼夜行ってのは、読んで字の如く。百を超える鬼や妖怪達が夜に行進することだよ」
「へぇ〜行進かぁ〜…なんだか運動会みたい」
そう言って雷太はくすくすっと笑った
その時、おじいちゃんが思いがけないことを言った
「雷太、百鬼夜行見てみたいか?」
「え?見れるの!?」
「あぁ見れるさ。お前がソレラを信じるならな」
「ソレラって何?、本当にいるの?」
「…人間が皆寝静まった後、この紅月町の火輪神社をソレラは通る。どうだ行くか?」
「うん…行く!」
雷太は戸惑いながらも少し、いやかなりワクワクしていた。今年で151歳となるおじいちゃんが、いまだに真っ黒な目を紫色に輝かせる満月の夜はいつも何かが起こるサインなのだ。やけに夜になると元気になるおじいちゃんは雷太にこう言った。
「このことはお母さんには内緒だからな。夜遅くにお前を連れ出したことがバレたらワシはもう…お前のお母さんは鬼より怖い」
「あはは、おじいちゃんはお母さんに頭があがらないもんね」
おじいちゃんはその長い後頭部をポリポリとかいた
どーんと言う音が町中に鳴り響く。おじいちゃんにとって何度目になるのだろうか。紅月町一番の大イベント、
紅月妖蘭花火大会が始まった。

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むかしむかし

むかしむかし
日本には人に悪影響を及ぼす宝石がありました。
それはそれは綺麗で夜空に光る三日月のようでした。
しかしその宝石の魔法は本当に恐ろしく人々の心を悪魔に変えてしまうものでした。その宝石から人々を守っていたのが恐ろしい姿をした鬼たちでした。鬼たちは人々にこの宝石を持ってはいけない。そう説得しようと長い間頑張っていましたが、その姿は本当に恐ろしいため誰も話を聞こうとするものはいませんでした。そのうち鬼たちは諦め、宝石を持っている人達から強引に奪うことにしたのです。しかし、それは何も知らない人々からしたらとてもとても恐ろしいことでした。なぜ私達を襲うの?私達はなにかしたの?鬼は本当に恐ろしい。悪魔だ。
そうして何も知らない人々たちは鬼を村から追い出したのです。しかし鬼たちは人を助けることをやめませんでした。追い出されようとも宝石を奪いに村へ何度も足を運んだのです。そうしているうちに長い年月が流れ、あの英雄が村へ流れ着いてしまいました。
よし、僕が鬼を退治する。そしてみんなから奪った宝石を取り戻す!そう言って鬼が住んでいる島へ仲間を引き連れ向かっていったのです。その英雄は恐ろしいほどに強くそれは悪魔のような強さでした。いとも簡単に鬼を倒し、宝石を村へ持ち帰りました。
しかしその宝石は恐ろしい魔法が宿っています。
人々はその宝石に長い間触れすぎてしまいました。
宝石は心だけではなく、姿も悪魔のようにしてしまったのです。その姿は人々がとても恐れていたあの鬼のような姿でした。鬼たちは初めて知りました。私達が追い出した鬼たちは私達を守ってくれていたのだと。
それから数年が経ちました。英雄というものはいつの時代も生まれてしまうものです。鬼たちはいとも簡単に倒され、また新しい鬼を生み出されていきました。………
おしまい。