スーパーで買ってきた 12個入りの卵パック 冷蔵庫にしまうときに 床に落としてしまった 可哀そうなひとつの卵 グロテスクな音と共に あふれ出す鮮やかな黄色 赤色だったらホラーよね なんて考え独りで笑う そっと親指でぬぐい取る フローリングの上の黄色 少しだけ舌の先でなめた スーパーで出会った卵 濡れタオルでふきとれば タオルの白とは違う純白 卵の殻に見とれたのは この時が初めて。 思わず床に残った殻のかけらを ポイと口へ投げ入れた。 ちょうどその時からなの。
降り続ける雨の音 暗闇の中落ちていく 小さな小さな宝石たち やまない雨はない なんて きっと嘘だと目を閉じて 涙を雨のせいにして まだやまないで 誰も来ないでと 宝石たちに埋もれていく そろそろ雨はやみはじめ 月のうつる水たまりは 深い黒色に輝き出す 夜はまだ長い。
あの時の 景色が 匂いが 風が 思い出される みんな みんな 空へ 空へ 飛んでいってしまった あゝ 私も 空へ 空へ 空へ と ん で い け
もしも あれを手に取っていたら もしも あの手をはなさなければ もしも あの日雨が降っていたら もしも 5分早く出かけていれば もしも あの駅で降りていたら もしも 私が傘を持っていれば もしも あの店に入っていれば あなたに会わなくてもすんだのね。
今の場面 録画しておけばよかったな そう思うのはいつも終わった後 録画ってほとんど賭けですよね
ときどき思う。 この世界には実は私しかいなくて 周りの人々はみんな作り物で 私が行く先々だけが 瞬時に作り出されていて 明日の朝起きればもう この世界は無くなっていて 私の存在も無かったことになっていて この世界はただの無意味な空白に なっているんじゃないかって。
とんでもないものを作り出してしまった。 作り始めた頃は希望しかなかったのに 今は早く消し去りたいと思ってしまう。 世紀の大発明だと思ったのに できてみればただの鉄の塊 しかも絶望を呼ぶと来た。 これさえできれば 私たちの暮らしは一層良くなる そう思っていたのに いざ目の前に現れると 手に取ることすら恐ろしく 見えないところにやってしまいたいと思う 誰かが生まれた瞬間に現れ 死ぬ日までのカウントダウンをする 豆電球のような機械昆虫を 開発してしまった発明家の日記より。
①ここに1人の主人公。 ②ここに1人の極悪者。 ③ここに1人の弱き者。 ④ここに1人の正義の味方。 ①そこに1人のクラスメイト。 ②そこに1人の主人公。 ③そこに1人の美容師。 ④そこに1人の通行人。 ①あそこに1人のエキストラ。 ②あそこに1人の努力家。 ③あそこに1人の主人公。 ④あそこに1人の元いじめっ子。 ①どこかに1人の読書家。 ②どこかに1人の塾講師。 ③どこかに1人の子の父親。 ④どこかに1人の主人公。
舞い散る桜の花びらが 柔らかな白い雪に思えて そっと手を伸ばす。 桜の木を見上げれば どこから来たのかわからない 柔らかく小さな花びらが 慎ましやかに 音もなく。 春だ。
貴方の月になりたいのです。 独りの夜には貴方を照らしてあげます。 二人っきりの夜も触れることはできないし その背中をさすることすらも出来ませんが 独りっきりの貴方に出会えるのは私だけです。 でも 決して私の裏側は見せません。