明日も学校 明日も仕事 明日も生きなきゃ 明日が霞む 昨日を懐かしむ暇もなく 明日が消える 明日は 明日は 明日は その繰り返しが人生だ 明日は きっと
はじめの合図が鳴りだします わたしより先に出るセンターの子の髪が揺れる あの子はあの子 わたしはわたし 逃げ道みたいな言葉を並べて今日も歌う 今日も踊る 明日もわたしは裏センター だれかのいちばんに だれのいちばんに? 想いはきっと 教室のすみで丸まったときと 変わらないはずだと また歌う
宇宙なんてはんぶんこでいいよ こっちがぼくの、そっちがきみの。 よるの空がよく見えるから きみのが、ちょっとうらやましいけど ここからは きみがよく見える さびしくなんて、ないんだよ それでもじきに ぼくは欲ばりになって きみをひとり占めしたくなる 声がききたい、だきしめたい。
帰り道 ふとスマホから顔を上げると うどん屋がなくなってた 部活帰りに月見うどん食べたな おっちゃん、あの時サービスしてくれたな もう味わえない出汁の匂いが舌に甦って 懐かしさを悲しさが追い越すのは この瞬間だけかもしれない 空きテナントに入ったコンビニで 申し訳程度のうどんを買う あの時の味はもうしない
惰性で歩く道はいつだって綺麗だった 雑草ひとつない明るい路地裏が、 永遠に続いているようだ そんな明暗の曖昧さの欠片の寄せ集めが 街灯ひとつない世界の言い訳にちょうどよかった
週末、ぼくは家を出る たしかに月が語りかけてくる 見上げる、そして呼吸を奪われる 痛いくらいに終末がやってくる。
明日も明後日も 全部今日の持ち物で 関係ないとかそんなことどうでもよくて あー やっと言えるんだ ずっと言えずに ずっと言わずに 溜め込んで溜め込んで 飲み込んでいたことを 僕の本音はいつも下等生物で 自分にすら噛み殺される意志の弱さに 指先が震えたまま掴みきれない されるがままの方が逆に楽なのか 問いかけた先のあいつは口を閉ざして 意味もなく僕を殴り続けて もうそれでもいいやと 血だらけの言葉に魂を宿して
9月が何故か恋しくて ぎゅっと紅葉を頭の中で握った
昨晩、泣いたまま寝落ちした 目の、つぶされたみたいな重さが 何故、泣いたのかを忘れさせる 今は、お昼ごはんのことしか考えられなくて 夕方、お昼ごはんを食べ忘れたことを思い出す 面倒、って思って結局何も食べずにまた寝る
ぺらり、紙をめくる音 僕が貸した本をずいぶん大事そうに読むんだね 難しいから読まなくてもいいって言ったのに もう残り数ページ 僕はごくごくラムネを飲んだ そろそろ読み終えるかな すると彼女がぽつりこぼした 「おもしろかった」 ぽくっと、ぽくりと、ほおを膨らませて 「きみの本、好きだなあ」 彼女だけが僕の作品を認めてくれる 残りひと口のラムネを飲み干した