オフィーリア最終話
「ブレーキとアクセル踏み間違えちゃったあ〜」
運転席から高齢の男性が降りてきて言った。
僕は軽自動車の前に駆け寄り、彼女を抱え起こした。
絶命していた。
なきがらを抱きしめ、次に会えるのは、いつだろうか、と考えていたら、彼女が目を開けた。ゾンビ化したのだ。
「なぜゾンビに」
「流行ってるから」
僕の二の腕に、彼女の爪が食い込んだ。
「そうか、じゃあしょうがない」
彼女を腕から引きはがし、僕は立ち上がった。
店から出ようとすると、彼女が飛びかかってくる気配を感じた。僕は尻ポケットから銃を引き抜き、振り返りざま、彼女の頭を撃った。
ゾンビになった人間に、来世があるのかどうかはわからない。