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部活のお話(入り切らなかった)

沢山笑った1日だった。でも、不思議と楽しくない1日だった。
そんなことを書くのも、もう習慣のようになっていた。
心の底からの「楽しい」という感情について、違和感を感じてきた自分にまた、違和感を感じる自分が居た。
それは永遠にループしていく考えだと気づいて、途中から思考を制限した。
そんな日は、まるでもぬけの殻になったようで。
それこそ楽しくない1日の始まりだった。

「おはよう!」
元気な同級生を見て、軽く会釈する。
「元気ないなー!声出せよー!」
そう言って肩を組んでくる。このくらい積極的に話しかけてこられると、逆に絡みづらい。私はするりと抜け出すと、荷物を置きに行く。すると、急ぎ気味に支度をする見慣れた女の子と目が合う。
「よっ。」
「よっ。」
この人とはとても仲が良くて、唯一信頼できる人だと思っている。
「ねぇねぇ、そんなやつ置いて早く上行こ!」
「おう。じゃな。」
「じゃなー。」
横から割り込んできた同級生に「親友」を連れていかれて、少し居心地が悪くなる。急に口数が減る。それをきっかけに慌てて支度し始める。半袖半ズボンの体操服の上に、長袖のジャージと長ズボンのウィンドブレーカーを着込むと、部室に向かう同級生の群れに早足について行く。
「遅いぞー!ぎしぎしー!」
「ごめんなさいね。」
私はギャーギャー騒ぐ同級生達の間に紛れて、運ぶべき荷物を手に持つ。人の群れから抜け出すと、早足に今度はコートに向かう。コートには大きな障害物が無く、そこから見える絵画のように澄んだ青空を見つめる。雲ひとつない快晴。私はコートに入る。
「お願いします!」
コートの端に寄って走る。端に荷物を置くと、今度はコートの真ん中にあるネットに向かう。巻いてあるネットを下ろすと、同級生達がネットを張りに来る。今度は箒を取りに行く。これでコートの白い線に被さった土をはらっていく。でも、そこで集中力は途切れ、「親友」に話しかけてしまう。