考え無し のうみそなし? 脊髄反射の生返事 だって、初めて会った君から 目を離せなくなったんだ
もうすぐ夏が終わるねって君は言う 蒸し暑さに拍車をかけた夕焼けの陽 君の顔はよく見えなかった 二人の黒いかげぼうし 二人を包むオレンジの街
あの苦しさと痛みは 一生忘れられないかもしれないのに あなたと会えた今日のことは もう思い出せないかもしれない それでも今を生きるしかない
さよならのかわり、どしゃぶりの雨 かさはなくした、ずぶぬれの僕
あの人の吸う煙草の煙は いつも甘い香りがした その理由はもう聞けない その香りが好きだった。 もう二度と伝えられない
駄作に埋もれた日々の隙間 あの日をまた夢にみる 身動きが取れなくなった後に やっと気付いた、 もう遅い。
夏休みは必ず終わる。 夏休みがある夏も、いつかは終わる。 真っただ中にあるとわからないけれど、 決して戻らない輝かしい時間。 だからいたい。だからあつい。 だから「時間なんてなくなっちゃえ」 なんて言わないで、 いま精一杯呼吸して。
蝉の声も 風鈴の音も 君の澄んだ声も なんにも聞こえないんだ
痛いくらいのきらきら太陽 負けたくないわ、きらきら笑顔 SPF最高値の装備で 波間を駆けろ。夏色乙女
君といる夜空の下 星より光る大輪の花 きれいだね って笑って おわりだね って泣いている 最後の花火が僕らを照らす またいつか、会えると信じて。
まつりの夜 はざまの夜 屋台の灯り照らさぬ処 神社の鳥居はくぐるべからず いつの間にやら“あちら側” あやかし、もののけ、いらっしゃい 白狐の面 般若の面 後ろの正面 紐が無い
水色プラスチックの中 赤と黒 ひらひらおよぐ 訪れるにんげんはすくっていく 掬っていく 救っていく 巣食っていく お祭りの定番、みじかいいのち
学校のプールがやけにきれいで 制服のまま落ちそうになった 歌詞なんかに出てくる『君』 なんてのはいなくて 僕はただ、夏の真ん中に ずっとしゃがみこんでいた
午後3時の斜陽 今日だけは滲んだオレンジ ごめんと素直に言えなくて ただ泣いてる。 ありがとうも言えなくて また結局泣く。
ラムネ瓶に屈折する光 五月蝿いアブラゼミ 古ぼけたカメラと ファインダー越しの君 この時を、この夏を 大切に切り取ってゆく
うだるような暑さもゆらめいた陽炎も 全部隠してしまおう。 本音と嘘、君の全てを 雪景色に閉じ込めてしまおう。 季節外れね、と君の声がした
君の声を忘れても それでもまだ君が好き 君の顔を忘れても それでもまだ君を想う 君との思い出が消えてしまっても 僕は君を覚えていたい
『夏の魔法』なんて言葉 大嫌いだけど。 それでも、 夜空に咲いたあの大きな花が 嘘をつかないことを僕は知っている
ただのさざなみ うみがめの唄声と ゆりかごのメロディ 台風でもなんでもいいよ。 ここじゃない遠くへ連れてって
同じように 同じように が いつのまにか ずれる ずれる 気づいたら一人ぼっちで中空
りんご飴は暑さで溶けだす 数時間だけの夜のきらめき 君はいつもよりずっときれいで でも僕は君に好きだと言えない 息を呑むほど 花火の光り
穴のないランプシェード、 暗いままの部屋 おはようの声を聞きたいのに。 君に花束を届けたいのに。
社会不適合者の僕は つらつら歌を重ねてく たった一人でも寂しくないよ 大嘘つきさん、さようなら
息を止めて、夜に潜る 深く深く たとえ底まで潜っても また朝に引き戻る 潮が引くように夜が消える 眠気と残る水の味
吐いた言葉も何だかよそよそしい もしかしたら、 あなたの隣にいることは わたしの幸福じゃないのかもしれない
まじめな僕を愛してよ。 いつだって変われやしないんだ やだね、って言って君は笑った。
笑うことが減って 我慢が増えて、 随分おとなしくなっちまったね。 諦めが増えて 溜息が増えて 随分大人になっちまったね。
深呼吸のしかたなんて とっくの昔に忘れてしまった 過呼吸には至らぬように 浅く、息をして、息をして。 今日もまだ、生きている
きみはぼくよりずっと にんげんらしかった。 しんでしまったきみの なみだも いたみも よろこびも うみのそこにおいてこよう。 にっこりわらって さようなら