1対27 #1
「きっと、わたしのせいで負けたんだ。」
「わたしのこと、嫌い?」
幼稚園に通っている頃、自分に自信がなくて、周りの目を気にして、びくびくしながら生活していた。そして、分かっていた。この後、そう遠くない未来にもっと友達とうまくやっていけないだろうということも。
小学校にあがり、4年が過ぎた。クラスで亀の「ゴジラ」を飼うことになった。みんながゴジラを溺愛した。そのくせに当番がまわってきても、水槽の掃除を毎回わたしに押し付けてぺちゃくちゃとお喋りをしながら、去っていった。水槽の掃除をしながら、毎回涙をこらえ、考えていた。「なんでわたしだけがこんな思いをしなくちゃならないの」と。
そしてある日我慢できなくなって、
「みんなもちゃんと掃除してよ!」
とさけんでしまった。154個の目がこちらをみた。「うるさいなあ」とでも言うように。控えめに言って、その視線でずたずたにされそうだった。そして、その日から1対27の戦争が可視化され、大きくなった。