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ボカロ

私は音楽ファンで邦楽を中心に沢山の曲を聴いているんですが、音楽を好きになるきっかけがボーカロイドでした。小学四年か五年の頃に好きになったので今年で6年ぐらい経つのでしょうか。
今でもよく聴きます。ボカロ黄金期と呼ばれる2008-2010あたりの曲や2015あたりの自分が好きになった頃の曲を特に聴いていたので、最近流行っている曲にはあまり詳しくないんですが、これは“ヤバイ”なと思った曲があるので、それを。
yanagamiyuki さんの「Cyber Kawaii Kunai Girl
」です。この方はボカロを使ったラップを作ったりしている方なんですが、この曲は鳥肌が立ちます。ミサ曲のようなある種の神々しさや重圧感を与えるトラックに「わたしサイバーかわいくないわ ぴえんすぎ サイバーかわいくねー俺たち このままいつか死んだら死にきれないままデータ化した悪意が回るただ」という歌詞を乗せて初音ミクが歌います。
ミクの声は可愛らしいのに、歌詞からは、死ぬ瞬間への重層な祈りを感じるのです。私はこの曲が、インターネットの世界に自分の存在を残すようになった私たちはデータとして残るけれど、今死んだらやりきれないんだという焦燥感や虚しさ、また、同じ時代を生きる同世代へ呼びかけるような曲に聴こえます。
また、「ぴえん」などの流行り言葉を歌詞に入れているのに、MVにはピーテル・ブリューゲルの「死の勝利」という地獄絵図にも近い絵画をそのまま使用しています。この対称的な表現からも、「現代を生きている私たちにも死は暴力的に訪れるのである」というメッセージを私は感じました。
あくまでも私は、です。

初音ミクのラップ、しかも初音ミクを現代の象徴的な立ち位置に置くような使い方をするのも、とても新しいボカロだなと思いました。今までにはなかったというか。
再生数は4.7万。友人がリツイートしていて知りました。あまり有名ではありませんが、素晴らしくて斬新な才能を持ったアーティストなので、これからさらに人気になると確信しています。