わけもなく、わけもなく世界は 崩れてゆくのです 僕の掌から毀れる無数の何か それを認識する隙さえなく 世界は崩れてゆくのです 崩れた先には 白くて大きなお皿があって 滑らかなその肌を 世界の欠片が染め付ける そうして わけもなく、わけもなく世界は 創られてゆくのです
私と君がなんでもなくなった今、 私はまだ、あの頃の思い出の中にこころを置いたままにしている。 一緒にいた日が長すぎて、 何をしていても君の思い出が私を追いかけてくる。 泣いたら楽になれるのかな? 楽になりたいのだけれども、私はいつも泣けない。 だって、 だってさ、泣いてたらね、 泣くたびに君のこと忘れてしまうんじゃないかって怖くなるんだよ。 君のことを忘れてしまうくらいなら、我慢する方がいいよ。 君のこと今でも大好きだから。
もう一度見せてほしい背中は、 いつの間にか少しだけ後ろにあるはずなのに さっき、一つ先の曲がり角に ふ、 と歩み去ったような気がして。 ぼくは小さく欠けた月になりたかったのに、 太陽は知らない間に沈んでしまって、もう いつまでも沈んでいくような気がして 小さくそっと、 首を振った。 (年齢だけ追いついたって追い越したって、) (いつまでも触れる気がしない大きな背中の、) (敬愛する全ての先輩たちに。)