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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑩

「……! もう1人……!」
攻撃の実行者を確認しようと振り向こうとするローズだったが、それも叶わず刃に触れた腹からローズの肉体は爆ぜ飛んだ。
「…………⁉」
辛うじて残った胸より上が地面に転がり、ローズの目に敵の正体が映る。
蹄が生え、地面に力強く踏ん張る四肢、背中側がより強固に武装された重厚なプレート・メイル、何より、額から生える湾曲した刀身。
(リノセラス……? ……いや、これは……!)
ローズの目が見開かれる。一見、犀のようであったその生き物は、武装によって猛獣に似た姿を得たメタルヴマであった。
「ふむ……我が異能で殺してやりたかったが……まあよくやった、“隕鉄刀”」
”天鉄刀”から『隕鉄刀』と呼ばれた犀のようなそのメタルヴマは唸り声をあげ、ローズの頭を蹄を模した長籠手で踏みつけた。そのまま踏み砕こうと力を入れたその時。
「貴様アァッ! ローズちゃんに、何をしているッ!」
ルチルの怒号と共に叩きつけられた最大威力の水晶柱によって、“隕鉄刀”は轢き飛ばされた。
「ルチル……“流星刀”は……?」
「追い払った。アメシストは動けなくなってる。もう喋らなくて良い、すぐ逃がしてあげるから待ってて」
「うん……“天鉄刀”と“隕鉄刀”だ。ルチルでも勝てるか怪しい。……気を付けて」
消え入りそうな声でルチルに伝え、ローズはそのまま気を失った。