紡げ、詩。【第2話】
昨日は気まずい空気に耐えられず、教室から逃げ出してしまった。
今日、絶対に謝ろう。
そう思っていたのに、”彼”は1日中、私の前に姿を現さなかった。
放課後。
机の上にノートを広げたものの、気持ちはノートに向かない。
いつもなら「何してるん?」と”彼”が声をかけてくるのに、今日はその声もしなければ、気配すらないからかもしれない。
『ごめんって…言おうと思ってたのになぁ』
そんな私の声も、誰もいない教室に空しく響くだけ。
ノートがめくられて、昔書いた詩が姿を現す。
〈蒼い空に天使の落とし物
白い羽根が空を舞っている〉
《xxxx年11月1日 君と僕との物語の始まりの日。》
おかしいな、と思った。
私はこんな詩を書いた覚えがない。
それにこれは私の字じゃない。
誰が書いたのか…。
しばらくして、この字に見覚えがあるような感じがした。
もしかして。もしかして。
私は机の中から、急いで1通の手紙を取り出した。
この人が書いたのかもしれない。
手紙を開く手が震える。
【続く】