オレンジ色の夕陽に向かって駆け抜けた
あの毎日があたりまえすぎて
気づけなかった。
こんなに近くにあったのに。
そこにオレンジの実は生っていた。
立ち止まってかじってみたら
どうしてだろう
ちょっぴり胸に沁みたんだ。
気づけばまわりはもう、暗くなっていて、
空を見上げたら満天の星空。
流れ星が私の瞳に映った気がした。
シトラスが夜空にはじけて。
なにかを忘れている気がする
そんな ちいさな朝のこと
トーストの焦げ目にもいとしさがこみ上げて
電線の上のカラスと笑いあった
なにかが足りない気がする
そんな 透明な昼のこと
お気に入りのシュシュとスニーカーが
きゃらきゃらと また こころを揺らすの
なにかを失くしてしまったのだと
気づいた 深い夜のなか
あなたはだあれ?
ことばは泡になって
ほわり ぽわり 知らないところへ
わたしの手の届かないところへ
飛んでいってしまうのね
まぶたのうらで背を向けた
ましろいあなたは あなたはだあれ?
受験まであと7ヵ月。いままでどうしてこんなに怠けていたのだろうか 自分でもそれが分からなくて、もがいていた。勉強をしない自分が悔しかった なぜ自分は勉強をするかさえも分からなくなっていた…………… 今からでも間に合うとあいつに言われた そうだよね そう言えばあいつと志望校が同じだったな……私にできるだろうか……勉強、久しぶりにしたくなったな
アイドルになりたいまなちゃん、オーディション二次審査に進んだ。通訳になるって言ってたりさこ来月からアメリカに留学するんだって。文化祭でバンドのボーカルしてた藤ちゃん、東京でライブやるらしいよ。みんなちゃんと未来を見てる。みんなちゃんと前を見てる。私は、足元ばかりみてる。
17歳、高校生、夏。なんでもできる気がしたのはいつまでだろう。なんでもできる気になっていたのはいつまでだったろう。今は違う。ちゃんと現実を見てるのに。まだ私は飛べない。
大好きだった。
貴方は私の初恋だった。
あの頃は、たしかに貴方だって私のこと好きだったでしょ。
二人とも勇気がなかっただけ。
「好き」
言えたらなにかかわってた?
貴方のとなりに私はいた?
あの子じゃない。私が隣にいたかった。
今更何も言えないけれど。
これだけは言わせてください。
「あの頃の私は、貴方のことが大好きでした。」
私以外に向けられる「かわいい」なんて聞きたくなかった。
私以外に向けられる笑顔なんて見たくなかった。
私は貴方のなに?
単なる先輩後輩?
少しでも特別な存在になりたかった。
貴方は私の特別だった。
私と貴方の距離はあと何㎝?
私と貴方は何が同じで何が違うの?
会えない時間をどうやって過ごせばいい?
会いたいって言ったら迷惑にならない?
ねぇ。
貴方の目に私は何として映ってるの?
私以外見ないでよ。