小さい頃から見覚えのあるパチンコ屋のネオン、
いつも右折する信号機も、家までまっすぐの古い県道も、
今は雨に濡れたまま。
おうちは近いようで、まだ遠いから、ぼくはバスを待つ。
(珍しく、車に乗っていないので電車とバスです。)
(たまには、待つのも悪くないね。)
ひとり、早上がりの現場を惜しみながら帰る。
雨降りのホームからは、見慣れない街のパノラマ。
さっきから繰り返しの、鳥のさえずりと
何処かで聞いたメロディと、ベルとブザーとアナウンスと、
バラスト軌道に弾ける雨音がステレオで
こんな日に限って忘れた読みかけの文庫本が恋しくて、
いっそこのまま、日も暮れてしまえ。
待ちぼうけ、電車は未だ見えない。
わけもなく、わけもなく世界は
崩れてゆくのです
僕の掌から毀れる無数の何か
それを認識する隙さえなく
世界は崩れてゆくのです
崩れた先には
白くて大きなお皿があって
滑らかなその肌を
世界の欠片が染め付ける
そうして
わけもなく、わけもなく世界は
創られてゆくのです