「なんか起こらないかな〜」
今日も兵藤静は学校に登校する。
「なんか起こらないかな〜」
今日も松本優は学校に登校する。
「じゃあ出席確認するぞー。青木」
「はい」
「秋葉」
「はい」
中学3年5組の担任の先生は自称永久の35歳である後藤先生である。
何歳にも見える不思議な外見をしている先生は何かと生徒から人気があるらしい。
「なんか起こらないかな〜」
「なんか起こらないかな〜」
教室の窓側最前列で桜の舞い散る外を眺めている静と廊下側最後列で机に突っ伏していた優のつぶやきは教室のざわめきの中に消えた。
去年で50周年を迎えた私立札幌学院中学校の校舎は開校当初建てられたものが相当頑丈にできていたらしい。そのおかげで幸か不幸か一回も修復されていない。なのでいまは教室も廊下もボロボロで、床は踏むとギシギシいうのは当たり前で、入学したての頃は歩くことさえ怖かったものだが、2年以上たったいまではなんとも思わなくなった。
人と仲良くなるには
人に合わせて人の顔色うかがって
相手に自分をさらけだすには
時期とタイミングが重要で
とてもめんどくさい
でも、たまに、めんどくさくても
そんな関係になりたいと思う
可哀想な子
そう言われて涙が出た
嬉しい暖かなものじゃない
冷たくてドロドロした濁ったもの
可哀想。憐れんでるの?
思ってもらえることは、いいことなのに反抗したかった
可哀想。馬鹿にしてるの?
一生懸命生きてるのよ。私なりの抗い方で
決めつけないでよ。可哀想って言わないで。
言われて気づいてしまったのよ。
私は「可哀想」だってことに。
生きることを抗うことにしてる私は弱いの?
他人に頼れない私は、可哀想なの?
素直な気持ちに応えられない私は
「可哀想」な子になってしまうわ
ひねくれてることなんて自覚してるわ
私は「可哀想」なんかじゃない
必死に抗ってるだけなんだ
あなたが立っている目の前に
さようならと過ぎ去りゆく
もういない もういない
悲しいよ 誰かたすけてよ
歩いていた 闇のなか
手があった つかんでみた
きみがいた きみがいた
ここにいる ここにいる
私はこの先も隣であなたの笑顔を見て居たい。
それは夢になるかもしれない、けど私は実現させたい。
明日の歌を聴いて息ができたらいいね
まつ毛の先っぽ、涙にぬれて
きりんの浮遊、ゆらゆらとのぼる
あちらこちらで音がして
凛々とした花が咲く
きみのもとへ駆けていきたい
ぎゅっと、寄り添ったら
ただいっしょに笑ってほしい
空は裏切らない
私を暖かい太陽で見守ってくれる
つらいとき悲しいときも空の下でいる
たまに心がもやもやして曇るときもある
つらすぎて涙の雨が降るときもある
けど上を見上げると元気が少し出る
私はこの空の下で生きている
みんなどんな人でも空の下でいる
空は青い
種から僕らは芽を出し
あなたの光で育つ
うまく育つようにと
支えていてくれた
季節巡りぼくらは何度も
過ちを繰り返したけれど
優しく母のように
僕達を見守ってくれた
言葉という雨を
私たちに与えてくれて
愛という光
僕達に与えてくれた
あなたが残したもの
忘れない
ありがとう
もう会えない。
そんなの言われなくても分かってる。
それでもやっぱり会いたくて
私は今日も空を見る。
空は世界で一つだといつかの君が言ったから。
ねぇ、今日も空が綺麗だよ。
直接話さなくても、触れなくても
ただ君と目が合うだけで
幸せな気持ちになるんだ
君の気持ちはわからないけど
その瞬間にちょっとだけ笑う君の姿に
私も自然と笑顔になる
明日になったなら会える気がして
また明日って言えば会える気がして
何をすれば また会えるのか
また会うには 自分には何が足りていないのか
みんなの顔を毎日見ながら大人になりたい
みんなの声を毎日耳にしながら大人になりたい
大人になりたい
大人になりたくない
大人になりたい
大人になりたくない
自己中ってこういうことなのかな?
都合よく世界はできてないけど、
せめてこのわがままは叶えてほしい
少女は、とにかく酷い息苦しさを感じていた。
まるで睡眠薬を飲まされて深海に沈められた様な、
ゆっくりと、ゆっくりと、窒息し水圧を掛けられていく様な感覚。
そう、少女は沈んでいるのだ。
「私こそ......ねぇ。それは困った。
稀に良くある話だけど困った。うぅん.........私じゃ直せないなぁ。
............そうだ、ユリだ。あの子に頼もう。」
少女は面倒くさいと思った。
話が自分の外で勝手に進んでいるのを本能的に面倒くさいと思った。
ハーヴの香りのする少女は色々と纏まったのかくるりと半回転をしてこちらを見た。
「そうだった、自己紹介を忘れていたね。
私の名前は『知識』。そう、ただのノウレッジ。
突然だが君を連れ去らわして貰うよ。
私の管轄内に君のような子がいたら色々と面倒だからね。」
ほら、面倒くさい事になった。
そう少女は本能的に思った。
↓一応新高校生歓迎キャンペーンを行っている。
何も無いが寄っていって、どうぞ。
満たされないことに慣れて、動くこともなくなって。
夜と寄り添うのも、十数年のこと。
小さな部屋で呼吸するだけ。
ふと思う。
ここにいる人たちみたいな
温かくて、弱い部分も包み込んでしまえるような、そっと誰かに寄り添うような人。
人の弱さをちゃんと知ってる人。
ことばの持つ力を心から知ってる人。
そんな人に出会えたらな、なんて。
理想なんてなかったけれど
将来隣に立つ人が、そんな人ならいいな、なんてね。
ちょっと思っただけなんだけど。