私の中にワタシがいる
1人だけじゃない
他人にココロ開かない子
すぐに人を信用しちゃう子
我慢し過ぎちゃう子
すぐリスカしちゃう子
いつもコロコロ笑ってる子
人のこと傷つけちゃう子
いっぱいいっぱいいて
自分がどの子かわからない
お願いだよ
本当の僕を見つけて
夜風にあたるときはひとりきりがいい
薄く赤いほおと 生乾きの髪と
変わりたい とおもう、わたし
橙色のライトがつらつら揺れる
去ってゆく車のうしろ姿に手をふった
いつかは夢さえも どこかへいってしまうのだ
僕らには欲がある、それはいいことだ。
だが、それは同時に満足しないことを指す。
だからこそ人間はここまで繁栄してきた、それは確かにそうだ。
満足するためには、何かを求めなくてはいけない。
一見するとその通りなのだが、人間は行動の果てに満足できるのだろうか。
1つ達成すれば次を、更にその次を、人間はこうして探求することができる。
しかしそれは満足しない事と同じだ。
そう、人間は何かを意識してしまったが最後、探求せざるをえないのだ。
ブータン人は世界一幸せだという。
現状に満足する事が幸せになるコツだと言っていたが、
それは探求しない事と同じだ。
そう、本当に欲しいものは意識してはいけないのだ。
『この世の「きれい」を集めて、日の光と流れ星で繋ぎ合わせたものが、彼女という人だと思う。
春の花のようなてのひらを、夏の風のような笑顔を、秋の月のような眼差しを、冬の露のような声をした彼女に、僕は恋をしている。
身の程知らずにもほどがある、愚かしい恋だ。美しい彼女を、僕なんかの「すき」で穢すわけにはいかない。
恋人になりたいだとか、せめて友達になりたいだとか、そういう罰当たりな願いは、持つことも許されないのだ。たとえ世界が許しても、僕が許さない。
ごめんなさい、好きになってしまってごめんなさい。こんなにきみが好きでごめんなさい。諦められるまでは、諦められないままでいさせて。
すきです。きみが、すき。』
100均のルーズリーフに吐露した心中を握りつぶして、後ろ手でそのあたりに放った。勉強をしに来たはずの図書室で、僕はひとりため息をつく。下校時刻はとっくに過ぎていた。
開いただけの教科書を閉じてリュックに詰め込み、「戸締まりは頼むわ」と笑った先生の顔を思い出して、ここの鍵は一体どこにあるのだろうと視線を巡らせた。
息がつまる。彼女がいた。
胸がぎゅうっと締め上げられたように痛み、血が煮え立ったかのように全身が熱くなって、―――それから一気に冷たくなる。彼女の手には、先ほど僕が投げ捨てたはずの、ぐしゃぐしゃのルーズリーフがあった。
彼女は広げた紙面と僕とを順々に眺めた後、困ったように笑う。わたし図書委員でね、まだ勉強している人が居るって聞いたから、鍵を渡しにきたの、だって。何か、何か言わなければ。
魚のように口をぱくぱくさせている僕に、彼女は1歩、また1歩と近づいてくる。来ないで、来ないでくれ、きみがよごれてしまう。できればそのラブレターもどきも見なかったことにしてくれ。
そうしてそのまますぐそこまで歩み来た彼女は、僕の胸中などお構いなしに僕の手をとり、葬り損ねたこいごころを、そっと握りこませてくる。目を見開いた僕に、彼女はまた笑う。
「あなたにここまで想われるなんて、あなたの好きな人は幸せ者だね」
春の花のようなてのひらで、夏の風のような笑顔で、秋の月のような眼差しで、冬の露のような声で、ああ、ああ。ずいぶん変わった自己紹介をするんだね。
すきです。きみが、すき。
終わらないものなんてない
この幸せも悲しみも愛情も苦痛も
終わると知っているから寂しいの
終わらないことはないから
でも、終わってもその時の記憶は
君が忘れない限りずっとそこにある
だから、忘れないで