表示件数
0

どこかで

心にあいた穴
ここに誰かがいた
そんな気がするのはなぜ?
心の奥の奥で
この世界の果ての果てで
誰かをもうどうしようもないくらい
想ったことがある
そんな気がするのはなぜ?

この記憶の先の先で
あなたに待っていてほしい
そう思ってしまうのはどうして?
この時間の流れのなかに
あなたは今どこにいるの。
そう考えてしまうのはどうして?

あなたは誰ですか?
この景色を覚えていますか
あなたに会いたい
そして伝えたい

0

逃げて逃げて逃げきって

誰にでも、怨みつらみはあるものさ

連続する一行の詩のように、夢はぶつ切りで続いていた

欲望は、朝日が世界を犯すように

呟いた何気ない怒気、その意図を、汲まなくて良いよ。

目を覚まして、恋をしたら、明け方で

夜があんなにも濃密だったなんて

あたたかさが、あんなに恐ろしかったなんて

逃げて逃げて逃げきって

次の夜の透明な裾を、掴め

当たり障りのない不幸、僕らの喉元に然り気無く

忍び寄ってきたら、見えないように、遠い遠い名を呼ぼう

逃げて逃げて逃げきって

淡い紅い声が吐き出る。あの人は往く道の端を折る。

そうだろう、そうだろうとも

遠い遠い君の姿だけを見ていたかった

いつか、別の世界で目覚めるように

0

無題

左腕を切り刻む彼女

ひんやりとしたシーツの上に愛用の剃刀
安全サックを外すのが 一等むつかしいの

暗闇に目を凝らす彼女

ひんやりとしたシーツの上に何度目の寝返り
気のやり方なんて とうの昔に忘れてしまった

月影に照らされた彼女

ひんやりとしたシーツの上に涙の凍る頃
漸く手に入れた赤い安寧を
今夜も懲りずに潰してしまった