表示件数
0

last girl

もし世界が滅びるとしたら君はどうするだろうか。
泣く、、、ことはないだろうな。
終活するかな。あの冷たい笑顔で。
いや、君は何もしないだろう。
泣きわめく愚かな人類を、ただただ無表情で、
つまらなそうに、見つめるだろう。
そして静かに目を閉じるだろう。
だってこの世界が終るとしたら、
それは君の手によるものだろうから。

0

存在の耐えられない軽さ

 あなたは五十代の主婦である。あなたはある日、五十代女性の女性ホルモンのレベルは、五十代男性のそれよりも低いという週刊誌の記事を目にする。そういえば最近、おばさんというよりもおじさんになってきているような気がする。あなたはためしに夫のスーツを着て外出してみる。スーツはやや大きめだが、特別じろじろ見られることもない。気をよくしたあなたは、閉経してから生えてくるようになったひげを伸ばすことにする。とてもしっくりくる。自分は男性として生きたかったのだ。もっと早くに気がついていれば。まあしかし過去を悔やむなど、もし違った性別に生まれていたらなどと妄想するぐらい幼稚なことだ。あなたはリビングでくつろいでいた夫に、これから男として生きていきたいので離婚してほしいと頼む。
「いつかこんな日がくると思っていました」と夫。
「そうか、では話が早いな」とあなた。
「わたしは今日から女として生きます。それなら離婚しなくてもすむでしょう」
 で、二人はお互い性別を変え、いつまでも仲良くくらしましたとさ。何だこの話は。

1

大靴(たいくつ)

いつも私の靴を履いてる君は
可愛らしくて、どこか憎めなくて

早く大人になりたいんだね

大きくなったらその大きさで
それよりステキな靴を
君に贈るね

退屈だとわめく君に
大きい私の靴を履かせると
ご機嫌になったあの時
ステキな靴の似合う
ステキな女性になって欲しいと
思いました。

退屈な毎日を
私達が幸せにすると誓ったあの日から
20年、あなたにこの靴を贈ります。

この靴を大切にしてください。

0

WATER

空から何かが落ちてきて、私のほっぺたを濡らしていく。

街の中はカラフルな傘でいっぱいになる。

そんな中で一人だけ、傘を逆さに持ってみた。

逆さの傘にふりつもる雨。

「これが私の雨」

そっと呟いてまわりを見ると、私を見つめるカラフルな目。

傘の持ち方なんて誰が決めたんだよ。

水溜りにダイブする。