「猫、好きなの?」
「うん、だーい好き‼︎だって可愛いじゃん?」
そう言って彼女は、猫を頭にのせる。
「それに被るものだしね」
「なにが?」
「ん?あぁ、猫がだよ」
彼女はそれでも、笑顔を崩そうとはしなかった。
乗り越えられない壁に当たって
傷だらけになって壊して進んだ
そうして真っ直ぐ歩いたつもりだった
壁を壊すたびに怒られる
「前に進んでいるだけなのに…」
あまりにも必死で気付かなかったの
あの壁が、ただの曲がり角だったなんて
加藤ってかっこいいってタイプじゃないけど、男らしいなあってあの時思った、すっごく。中学の頃に私はバスケ部に入ってて、毎日汗臭いバッシュ履いて体育館走り回ってたんだけど、その頃から加藤はてきとーな奴って有名で、私は、何ていうか、体育会系の意地みたいなものが発動してて、適当に人生生きてるやつなんて嫌いだ、近寄んなって思ってた。対してバスケ上手い訳じゃなかったけど、それでも部のキャプテンやるくらいには真剣だったんだ。で、中二の冬ぐらいにそこそこ大きい大会があって、部内がかなりピリピリしてた時期があって、まゆみっていう副部長やってた子と私がほんとどうでもいいことで喧嘩しちゃって、もう本当こんな時期に何やってんだーって落ち込んでた。加藤が部活覗きに来たのはちょうどそんな時期で、まゆみと結構ガチで険悪な感じになってたから、私も構う余裕とか全然なくて、試合前だから帰ってくんないかなって睨みながら言っちゃって、そしたら加藤は、そか、邪魔して悪かったな、また来るわ、ってちょっと残念そうな感じで言うから私は、もう来んなよ、邪魔なんだよ!って叫んだ。体育館ってわかると思うけどかなり声響きやすいから周りにいたやつらが振り返ってこっち見てきて、おまえが邪魔なんだよ静かにしろよって野次飛ばしてきて、いつもなら全然相手になんてしなくて余裕なのにその時はもういろんな事が重なってたから恥ずいけどその場で泣いちゃって、もうどうしていいかわかんなくなってしゃがみこんだ。したら加藤が周りじろっと睨んで、俺が悪いっつってんだろ、黙ってろよって言って、それでもブツブツ言ってる奴ボコして、小さい声でほんとごめんって言って帰ってった。悪いの私なのにね。結局大会はあんまいい成績残せなかったけど、その後私は加藤にあの時はごめんって謝りに行った。そっから何となく付き合うみたいな流れになって、もう3年くらい経つんだなあ。
きのうはごめんね
みんながいたし
がっこうだったし
すきっていうの恥ずかしいし
きらいになったわけじゃない
だから
からかわれてもちょっと嬉しい
らいねんも一緒にいたいよ。