いつだって
静かに時は過ぎてゆく
私はそれを
ただ、呆然と眺めるしかない
音が出ぬように
もう、壊さぬように
幸せだと感じる者がいれば不幸と感じる者が必ずいる
ひとりの幸せのために大勢が犠牲を食らうか
大勢の幸せのために一人が犠牲を食らうか
どちらが正しいか私には到底わからない
犠牲はつきものなのか・・・・
同時刻、神崎士郎も嫌な予感を感じていた
そこにはいない何か...
嵐の前触れだと、超越者としての直感が彼に告げた...
満身創痍...
すでにその言葉そのものだった
静かな殺気は抵抗する意思を削ぎ落とす
そして何よりも強すぎる...
「あれ?もう終わり?」
こいつには...勝てない...
STRIKE VENT
黒龍の咆哮が響き渡ると同時に黒炎が放たれる
タケルは死を覚悟する他なかった...
「ふっ...こいつもここまでか...」
青年が呟く
だが...
「ん?これは...なんだ...」
突如、彼の持つアドベントのカードが光を放ち始めた...
足りない足りない足りなくて
空のステンレスボトルを傾けて
ぽつりとぽとりと
滴る雫を待ち焦がれ
グレープフルーツと言ったかな
それによく似た柑橘系の香りの
スポーツドリンク
酸味の残滓を引きずって
20mLの涼を求めた
足りない足りない足りなくて
真水じゃ満足できないんだって
どくどくどくと
注ぐPETの向こうを見つめた
グレープフルーツによく似た香り
柑橘の味がひやりとからかった
依存症状
一銭もない財布を鞄に押し込め
真っ白な自動販売機を怨めしく見上げた
こうなることはわかっていたが
あぁ渇望さ
生きていけないかと目が眩む 渇望
あと少し歩く糧に
あの冷たいドリンクをくれ
俺が生きる今は
もっと生きたかった誰かの
明日かもしれない
人生は消耗品じゃない
すべては突然
多分それが
必然なのかもしれない