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夢から冷めて

好きか嫌いかわからなくなった
そのくらい私の一部になった
眠ったふりをしていた
腫れぼったい一重まぶたに
そっと柔らかな愛を落として
部屋を出て行く
足音が速くなる
もう君はきっと帰ってこない
優しいから最後の最後に
愛を落としていく
ずるいよ、そんなの。

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無題

人は遠ざかる
分かり合えないと諦める
向き合ってもいないのに
きっと誰もが優しい気持ちを
持っているのだから
自分を閉じ込めないでよ

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不可能

私の辞書には
不可能という文字がある

なにもかも、できないことはできない
そう、割りきってた

でも、そうもいかないらしい

できない自分が嫌いなわけじゃない
ただただ
むなしいだけだ

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かつての背中

俺は親父が嫌いだ。

お袋が死んでも平然としてる
親父が大嫌いだった。

俺は親父が嫌いだ。

酒好きで、寝ぼすけで、不器用な
親父が大嫌いだった。

俺は親父が嫌いだ。
頑固で、意地っ張りで、すぐに殴る
親父が大嫌いだった。

だから死んで清々すると思ってた。

でもなぜだろう。

親父の作る不味い料理が
恋しくなるのは。

お袋の代わりにと、朝まで料理の練習をしていたのを知ったからだろうか。

あのお節介の様な小言が
聞きたくなるのはなぜだろう。

夜中にお袋の遺影の前で泣いてたのを
知ったからだろうか。

俺の為にと、
朝から晩まで働いて
起きれなくなるくらい疲れて
若くもないのに体ぼろ雑巾にして
挙げ句死んじまうなんて

本当にバカな親父だよ。
死ぬまで黙ってるなんてさ。

「バカ親父が。」
流れないと思ってたものが頬を伝う。

墓の前で大好きだった酒を
遺影と酌み交わす。

涙混じりの酒を飲んだ後の景色は
見飽きたはずなのにどこよりも綺麗に見えた。

大嫌いなバカ親父よ。

ありがとう。
アンタの息子で良かった。

滲んだ目に浮かぶかつての背中は
どこまでも遠く、輝いてた気がした。

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夜の光

これが夢なら忘れないで 恋しているのはその嘘
永遠に側にいる約束は止めて 息ができないと苦しい
側にいるのに無視しないで 特別な存在のはずなのに
あの塔まで駆け出そう 光が消えてしまう
見えなくなるから 心に目なんてないから
恋愛は気晴らしだから 嘘が欲しいから
わたしたちに傷はどこにもできない
残るのは残像 あの頃は
まだ小さかった