彼女が地上に舞い降りた天使だとしたら、その翼を狩り落としたのはこの僕だ。相も変わらずシーツのドレスがよく似合う、むき出しの背中を撫でる。シャワーも浴びずに寝てしまったから、ちょっと汗くさい元天使。
月の欠伸と彼女の寝息が、鼓膜に甘くうるさい。今夜もきっと静かな夜ではなかった。何かが始まった以外のすべてが終わった、あの夜とおんなじ。花占いをするように服を脱がせて、結果が「嫌い」でも「好き」でも傷ついて、それで。
心の一番脆いところで綻んでいた蕾は、優しい誰かにさくりと踏みつぶされて、その足を彩るペディキュアは、彼女のものとよく似ている気がして、祈りのような恋は、呪いのような愛になって、それで。それで、?
「ないているの」
僕に背中を向けたまま、彼女が言う。いつの間に起きていたのか、問おうとしてやめた。質問を質問で返してしまうからではない。だってきっと彼女はとっくに夢から覚めている。思わず彼女を両の手で縛り付けたのは、ないていたからではない。泣いてしまいそうだったからだ。
彼女は僕の胸に頭を擦り寄せて、「柔らかいね」と呟く。そうだね。どうしてぼくたち、おんなのこなんだろう。右も左も使わなきゃこの子を閉じ込められないような細腕、いらないんだよ、くそったれ。
自問自答する人できる人ってそんな困ってなくて、恐らく大丈夫。だって、答えが見えてるんだもん。
初めましての方も、お久しぶりの方も
ことばの中でぷかぷか、いつまでも浮かんでいたい小さな箱舟の乗組員です。
好きな季節は、呼吸に色がつく季節。
ベースの音、猫のしっぽ、金木犀、ゴム人間が海賊王を目指す漫画、4人組のへなちょこバンドが大好きです。
睡魔と甘いものに弱くって、返ってくるテストの答案用紙が何よりの脅威。
よく笑うし、よく泣くけれど
どうぞよろしく、
誰が大人になることを汚いと決めたのだろう
子供のままでも十分汚れているのに
純粋の象徴のつもりで
今日も制服のボタンを閉める
プラトニックな愛なんていう
輪郭がぼやけたものを追い掛けてる
二人でプリンを食べる幸せとか、さ
幸せって
誰かに認めてもらうものじゃないから
誰かが与えてくれるものじゃないから
自分が幸せだと思ったら、幸せ
幸せじゃないと思ったら、幸せじゃない
いつからだろう
小さな幸せに気づけなくなったのは
周りの人の目を、評価を気にして
後ろ指を指されることを恐れて
ひたすら目立たないようにって
でも、誰かに認めてほしいからって
自分を押し殺して、
ひたすら良い人になりすまして
遠くにあるものじゃなくていい
人が羨むほど大きくなくていい
たとえば
好きな人と目が合ったとか
苦手なあの人と話せたとか
いつもより髪型が上手く決まったとか
信号に1つも引っ掛からなかったとか
誰にも理解されなくてもいい
自分だけが
ふとしたときに感じれる
そんな幸せがいい
自然な笑顔で泣き顔で
暮らせる毎日に戻りたい