遠距離恋愛
謙虚に恋愛してても意味ない。
本音と本音とでぶつかり合って
喧嘩と仲直りを繰り返して
そうじゃないと意味がない。
誰の言葉も響かない。
他の奴らに貸す耳はない。
どんな困難にだってビビらない。
それが、いつかは身を結び
2人の糸も更に固く結んでくれる
春からは俺がこの立場。
輝く未来へいっぱいの面舵だ。
よく昔は優しい人と言われたよ
嬉しくなったのを覚えてる
考えてみたら、大抵の人は優しいんだけどさ
その羊羹くれるの?優しいね
いっぱい食べる君が好き
『チーズケーキ焼いたよ』
『アップルパイ作ったよ』
甘いお菓子に目がない君
『…食べる?』
そう聞いた2秒後
「食べる!」
そう叫んだ君を見て
急に抱きしめたくなっちゃったんだ
何皿食べたの、
じゃなくて
何を食べたの、
ってことでしょ
何がおいしかったの、
って
問答無用で価値観を押し潰そうと
無様に足掻く奴等は
乱痴気騒ぎのこの時代にビビってんだな、きっと
栗のケーキなんか食えるかってあいつ言ってたな
どこにいるのって、何をしているのって、
今日は特に探してる
壊れかけのディバイスで、開けないブラウザで...
私 貴方 鉄格子は遮る
罪 涙 金属の冷たさ
二人 割れた爪 決して一つにはなれない
瑠璃 微笑み 鉄格子は遮らない
バルコニーに若い女。物陰に若い男。若い女にスポット。
「おお、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの」
「ロミオという名前が嫌なら、どうぞ恋人と呼んでください」
「ああ、ロミオ」
「ぼくはあなたのために生きたい。あなたのためならこの命、おしくはない」
「……わたしのためなら命、おしくはない……あなたがわたしに差し出せるものって、命しかないの?」
「えっ」
「なんかそういうのってさあ。努力して目標を達成するなり、新しいことに挑戦するなりしてなにがしかの取り柄を持とうって気のない怠け者がかっこうつけるための方便としかとれないんだよね。なんの取り柄もない奴の最後の砦っつーの? 女にモテる奴はみんな努力してるんだよ陰で」
「……あの、その……とにかくぼくは、あなたを愛してる」
「あんたみたいに田舎で実家暮らししてる奴に愛だの恋だの言われたって説得力ないんだよね。豊富な人生経験ありきで言うべきセリフだよなそれ。本気で女落としたかったら都会でもまれて視野広げてから来いよマジで」
「……ぼくは、ぼくは……ぼく、ぼく……」
「ん? あんた泣いてんの? 泣いてんのあんた? 泣いてんの⁉︎」
「ロミオ!」
「ママ」
「なにしてるのこんなところで。風邪ひくでしょうが」
「ママ。ぼく、東京でひとり暮らししたい」
「あら、熱あるのね。ハナたらしちゃってもー。ほら、かみなさい。……さ、帰りましょ」
「うん」
若い男と母親去る。若い女、バルコニーの手すりにもたれて。
「あーあ。今度の奴も駄目か」
善も悪も相対的で
理非の判断の正当性の縁などない世界は
いつも固まったはずの決意を揺るがした