「見えないメッセージ」ってさ
その人の心の声で。
それを受け取ることでしか
仲良くなるしかないのか?
普段の言葉を全て嘘だって無視して?
そういうのがわかる人をよく見てるあの娘も
そういうのを操ってる計算高いあの子も
警戒しながら生きていくのが正解なのか
見えないきこえないその人の「本質」を
見抜くことが一番大切なのか
みんなよりふたつ上のわたしはただ
楽しくやりたいだけ
会えなくなるまで
もう時間はないのに
カウントダウンは
常に先を進んで
私の心だけ
ここに置いてけぼり
いつの間にか過ぎていった日々
思い出せば出すほど
戻りたいって
またあの場所で
君と笑いあって
陰で泣いたこともあった
ぶつかり合って
お互いの気持ち知って
喧嘩した分、仲直りもたくさんして
他の何にも取り替えられない
上書きなんてできない
君との最高の思い出
これからもずっと
こんな毎日が続けばいいのに
会えなくなるなんて
やだよ、ずっとそばにいたいよ
絡めた指を恋にしてしまうことなんて
きっと訳ないことだけれど
色を持たせず絡め続ける
其処に価値を見出すことって
そんなに受け入れ難いことかしら?
気づいたら七十を過ぎていた。長いようで短かった。短いようで長かった。むかし、人生とはゴムひものようなものだと言ってゴムパッチンをするお笑いコンビがいた。多分あれがゴムパッチンの元祖だ。
小さな町工場を定年で辞め、警備員などやってみたが、夏場など、思ったより過酷で、長続きしなかった。いまはパチンコ店の清掃係を週四でやっている。金はないが、のんきなものだ。ずっと独り身で、親はとっくに亡くなっている。きょうだいとは何十年も連絡をとっていない。
年をとったら、食欲も性欲もなくなる。老後の資金なんて心配する必要はない。年寄りに大金はいらない。足腰立たなくなって、病気になったらそのまま、自然のままに死ねばいい。
朝の五時に寝て、昼に起きた。好きな時間に寝て好きな時間に起きる。独り身はいいものだ。久しぶりに、蕎麦でも食おうと思った。駅の立ち食いなんかではなく、老舗の、美味い蕎麦。
田舎にいたころ、姉は、友だちも恋人も作らない俺をよく馬鹿にしていた。姉は結婚が早く、子どもと大企業で働く旦那の自慢ばかりしていた。まともな就労経験のない専業主婦で、保守的な価値観しか持たないくだらない人種の典型だった。
旦那が大企業で働いていて年収が手取り七〇〇万ぐらいだったとしても、嫁が働いていないぶんの損失を考えたら都会の平均的な共働き夫婦の総収入と変わらない。世の中に出て見聞を広めなければ子どもに多様な進路を提示してやることもできない。知らぬがなんとやらだ。
いまでもこのようにたまに思い出してむかつくことがあるが、言い返してけんかなどしなくてほんとによかった。愚か者相手にけんかしたらきっと自己に対する嫌悪感にいまでもさいなまれていただろう。けんかする価値もない愚か者。ファーストフードのハンバーガーが美味いと言っている人間に、割烹の旬の野菜を使った料理を食べさせても素晴らしさがわからないように、つまらない人間に俺のような優れた人間のよさはわからない。べつにそれでよい。好みの問題だ。
こんなことを考えているうちに、蕎麦屋に着いた。
じっとりと頭が重たい朝、
憎たらしいくらい晴れた空に
ひこうき雲がまっすぐ伸びて、
遠くでサイレンが
渦巻いては消えていく
目眩がするような陽だ。
あれだけ黒の中に居たいと願ったのに
目が萎むくらいに抗ったのに
何故僕の願いは聞いてくれないのか
操る誰かが居るのなら
胸ぐら掴んで脅してやろう
何を差し出せば黒の中に居られる
分かってる 僕の息が止まるまで
この願いはおあずけだ
だからそっと僕は僕を慰める
「黒に染まったらきっと
また白が欲しくなるから、
今のうちに白を噛み締めておいで」
気づいたら目で追いかけている
あの子と話すとドキドキする
あいつと話してるとチクチクする
いつからこんなになったんだろう
好きってなんだろう
恋ってなんだろう
もがき苦しみ青春(いま)を生きる