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夏になると聴きたくなるバンドがあってさ

肌にじっとりとへばり付く制服の感じとか
更衣室の制汗剤の匂いとか
クーラーの効いた部屋で寝る幸福感とか
クラスのあの子の薄汚れた噂とか
大人になりきれずにさ
小説の行間で生きていた様な
あの頃を思い出して仕方ないな

決して嫌ではないんだけれど

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あんなに優しくて
あんなにカッコ良くて
あんなに笑顔が可愛くて

なのに
それなのに
好きになっちゃダメなんて
無理でした
あなたに恋しちゃダメなんて
無理でした

多分、こんなに泣きたくなるほど
切なくなるのはあなたのせいだって
わかってた

あのね、もうね、ダメだよ
好きです

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17才

あの頃僕は17才だった
内側にただ溜まっていく熱を
日々マグマの様に沸騰させながら
何にも興味無い振りして
あの子の妄想に浸った
なにしろ僕は17才だった

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告白前夜

「おはよ」

その一言が返ってくるだけで嬉しい

「ばーか」

そう言われる度キョリが縮まった気がした

「ありがとう」

目を合わせると照れちゃうから
ちょっと下を向いたけど

「ごめんね」

喧嘩したってどちらともなく謝れる

「大好きだよ」

この言葉をはやくキミに伝えたいけど
今の居心地のよい関係のままでいたい

「好きな奴できた?」
突然スマホに入るメッセージ
胸がとくん、と小さく鳴る

誰かに取られちゃう前に
明日、小さな勇気出してみようかな

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出来物

自分達だけが良いものを作ろうって張り切って

あんた達は笑って

悔しくて流れた涙

もう、やめて

家で1人泣いた

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6月

六月。

土を湿らす雨
微かに梅の匂いがしたのは
この時期特有の雨だから…ではなく
薄ら汗ばんだツインテールの君が
祖母の手作りの梅のジュースを飲み込んだから

君の頬が紅く染まっているのは
僕が隣にいるから…ではなく
梅ジュースが発酵して
アルコール分を含んだから

故意的にではないのに
少しいけない事をしている気分

…そんな六月。
12年前の六月。

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ο

そんな暗い顔せんといて
ウチまで悲しくなるから
ここまでよく頑張ったね
ってたくさん褒めてあげるから
今日はゆっくり二人でテレビでも見ようよ
スタッフの笑い声が響く深夜のバラエティ

努力してもできないことはできないまんまさ
一生懸命やったんだから君は悪くないよ
もう少しお金貯めたら広い家に移って結婚しよう
プロポーズはこの前君が酔ったときしたでしょ

大人になったら少しは成長できてるのかな
小学生のときの夢見がちな部分は同じだけど
これから大変なこともいっぱいあると思うんだ
でも二人ならなんとかなるよ
ねえ、そういうことにしとこうよ

ウチがすぐ寝ちゃった日に
ウチの手首の傷見たでしょ
君は笑ったりせずにそっと傷を撫でてくれた
それだけで泣きそうになった 最近ホント涙脆くて
君と同じ時間を過ごせて
ウチは幸せ者だな

大人になっても全然変わらないところが
ちょっとはあればいいなって考えてた
どうだったっけ? これで良かったんだっけ?
これから大変なこともいっぱいあると思うんだ
でも二人ならなんとかなるよ
ねえ、そういうことにしとこうよ

いつか小さい猫を飼って
二人でその子を溺愛しよう
ウチと君との間に子供ができたら
その子もめちゃくちゃ愛そう
ほらね、未来は素晴らしいでしょ
だからそんな顔しないでよ
君が沈んだときにはウチがその分明るくなるから

いくつになっても二人は
もう二人のままでいいよ
それだけで満足だから
その言葉に嘘はないから
君がどれだけ落ち込んでも
ウチが励ましてあげるから
埼玉出身だけど関西弁で励ましたるから

そんな暗い顔せんといて
ウチまで悲しくなるから
でも伏し目がちで無口な
君もまあまあ格好いいよ

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loving boy and histeric girl

愛、会い、逢い、愛
それでもいいなら
あなたの声を聞かせてよ

無い、無い、無い、無い
どこにも無いなら
今すぐ探すのをやめなよ
愛する貴方から奪いたいのは
私以外の記憶すべてです

思い、想い、念い、重い
もう限界だと
少年は口を開いた

あなた、あなた、あなた、あなただけを
見続けた私はどうなってしまうのですか?
もういっそどこか遠い所へ…
そんな妄想を抱えながら
あなたの隣を奪いに行くのです