家に土足で入ると怒られるのに
ペダルを土足で踏むのはありなんだよね
土が、道がなかったら前に進めないから
優しさふりかけましょ ぱっぱ
隙間なくふりかけるの ぱっぱ
君は振り払うの ぱっぱっぱ
ぱっと目が覚めて
ぱぱっと世界終わらすの
あの駅のホームで私は君を待っていました。
24分。魔法の言葉。
君は、24を使うのが好きだった。
「24分だろ?」
「24分乗ろ~っと笑」
たまに、50分なんて言葉も出てきた。
「50分乗れよ?」
「俺、昨日50分だった。」
魔法なんて、かかるんだよ。
君の口説き方、下手すぎ。
私、君のその魔法の言葉で、好きになったわけじゃないから。
笑わせてくれて、
心配してくれて、
ひとなつっこい。
「しつこいよ、もう、来ないでよ。」
わざと吐いた私の言葉が、
相手のものになったのは、
いつだっただろう。
一緒に居よう?
は?
振り向いてよ。
なんで?
黙ってくれ、
もう、俺は君のものじゃないんだ。
そう、心に怒鳴られた。
僕はきっと泣いてしまうだろう。だけど!!!
仲間が減ってしまって、それでも僕は泣かないと決めたんだ。
空にひらりと舞う、季節外れの桜花に想いを寄せ
君が船を降りた日、僕は悲しくなって何度もあの曲を繰り返し聴いた。
夏の終わり、将来の夢──たくさん話したことはあったのに、君はどこかにいってしまう。
君が船を降りても、僕はまだ船の中にいるよ。僕はこの船の中で大切な仲間である君を想う。
最後──────君が船を降りて、消えていなくなるその瞬間まで…───精一杯の笑顔をただ、君に贈る。
日曜日は一緒に海を潜って巡回したりもした、大好きで、いつか会いたかった、一生の大切な仲間である君に──────
書きたいまま、書きたいまま書いていく。
ただそれだけ。僕の中に、言葉が生まれたんだ。
君にただ。君にただ。伝えたい、ありがとうと…
ただ、そのひとことを。
夕日の中必死に書き殴った
自分でさえ何を書いているか分からない
ノートの切れ端
そこから生まれるものなどないに等しいのに
それでも僕は、それでも僕は、
誰かにこの気持ちを知って欲しくて…
言葉にならない言葉たちを
必死に探して追い求めた。
その先に、僕は僕なりの美しいものに乗せて
言葉たちを重ねていく
僕は、僕は、僕は!!!!!!!!!!
ただ、叫んでいる。
心から、叫んでいる。
るなはかまわず、わたしを紹介すると、空いている席に着くよううながした。わたしが着席すると、扉が開き、生徒が三人、入ってきた。男子が二人、女子が一人。
るなの顔が恐怖にゆがんだ。
「先生、僕たちも紹介してください」
男子二人がユニゾンで言った。
「これは、あなたたちのしわざね」
るなが言った。
男子二人が何か言おうとするのを、るなは手で制した、ように見えた。
男子二人が口から血を吐いて倒れた。
女子が動いた。おそらく、るなと同じ能力を持っているのだろう。るなが倒れた。
女子がわたしにゆっくりと近づいてきた。わたしに手をかざす。わたしは目を閉じた。
目を開けると、るながわたしを混乱した目で見ていた。血を吐いて机に突っ伏す。
一度にふたつの能力を手に入れたわたしは、満足して学校をあとにした。
角を曲がると、女子高生が突進してきてわたしにぶつかった。ひっくり返ったわたしが半身を起こすと、わたしがわたしを見下ろしていた。
「おい、君」
声を発すると、女の声だった。女子高生とわたしの身体が、入れ替わっていたのだ。わたしの身体になった女子高生はさらに混乱した表情になり、走り去った。
立ち上がって制服の汚れをはらう。うちの学校の制服だ。バッグからスマホを探り当て、カメラで顔をチェックする。はて、見たことのない顔だ。生徒の顔はだいたい把握しているのだが。歩きながら思い出した。今日はわたしのクラスに転校生が来る日なのだ。
未だ混乱した表情の(そりゃそうだろう)わたしの身体になった生徒が職員室から出てきた。
わたしは生徒に声をかけた。生徒、蒼井るなは泣き出してしまった。わたしはあわてて、るなの手を引き職員用トイレに入った。もちろん男子トイレだ。女子トイレに入るよりはましだろう。
「わたし……わたし……」
るなはしゃくりあげ始めた。大泣きしそうな勢いだ。わたしは冷静にさとした。
「泣いてる場合じゃない。状況を受け入れろ。わたしはお前のクラスの担任だ。お前はまずわたしをクラスに紹介してから早退するんだ。アパートの鍵を渡す。住所はスマホに登録しておいた」
わたしはそう言ってポケットからスマホを取り出して画面に表示した。るなはこくんとうなずいた。
「ところで、何をあんなに急いでたんだ? 十分始業に間に合う時間だったろうが」
るなはぴたりと泣き止み、真顔で言った。
「わたし、超能力者なんです」
「何だと?」
「国の研究機関の暮らしにうんざりして逃げてきたんです」
「……とにかく、まず教室に行こう。話はあとだ」
るなを連れ、わたしは教室に入った。わたしは目を見張った。
生徒が全員、床に倒れていた。