窓から零れる光が反射し、キラキラとしているその白い髪を、瑛瑠は自分の指でなぞった。
優しいその刺激に、チャールズは反応する。
「お嬢、さま……?」
「あ……起こしてごめんね、チャールズ。」
ぱっと引っ込めようとするその手首を、逃がすまいとチャールズに捕まれた。
「大丈夫ですか!?」
寝起きだというのに、こちらが驚いてしまうほど見開かれた碧い眼。ただでさえ白い肌はさらに白く、まさに顔面蒼白であった。
自分の部屋にいることに状況の把握は遅れているものの、瑛瑠としては軽く卒倒しただけである。それが、どれ程重いかの個人的認識は置いておいて。
「大丈夫だよ。焦りすぎ。」
ふふ,と笑ってみせると、チャールズは脱力したように項垂れる。
「2日も目を覚まさなかった人が、何をおっしゃっているんですか……!」
言葉にならないたくさんの気持ちを、
無理やり言葉にしてみても、
的を射た言葉なんてどこにもなくて、
結局俺の中で気持ちは吐き出せないまま。
そのうちこの気持ちも腐っていって、
心の底まで臭いが充満しちまって、
耐えられなくなってしまうから、
今吐き出してしまいたい。
心の防腐剤なんて何処にも売ってないし、
辛さを受け止めてくれる人もいないし、
吐き出すには言葉にするしかない。
言葉に成れるはずのない言葉に。
拝啓部活を頑張ってる君へ
君は今日も部活を頑張っていたね。
暑いなか、朝早くから お疲れ様
拝啓最近会えない君へ
君は最近いないね。
暑いからかな? 大丈夫?
僕は君に会えるのを楽しみだよ。
私は君と学校で喋るのが楽しみだよ。
何を話そうか
ある日突然
君はいなくなったね
大きな夢を叶えたいと
いつも何度も思い出す
最後に話したあの日
「私の人生は私のものよ」
そういって最高の笑顔で振り向いたこと
何度も何度も君を抱きしめたこと
涙が溢れて止まらなかったこと
チャールズが前に、ものすごく優秀なヴァンピールがいると話していた。それがジュリアだとしたら。
そして、
「チャールズが私のお兄ちゃん……?」
いや、ない。聞いたこともない。
そもそも、王の娘は自分一人のはずだ。
「チャールズ、あなたは一体誰なの……?」
正午、12時
幸せは掴めない貴方の影のようで
太陽は僕らの真上にいて
ただでさえ届かないあなたの手
僕のもとへと伸びてきたのは
夕方、5時
あなたの影は僕のもとへ
太陽次第で僕らの距離は
どんどんどんどん近づいて
まるで僕らの心と心を
太陽がくっつけてくれるように
いつもまにか
あなたは影とともに
僕の手元にやってきて
そうしたら、僕…
台風の便りが、熱い風にふかれてきました。灼かれるような夏が往き、とうめいな秋が来るまでのあいだ、ぼんやりと漂う暑さと熱さがいとしくて
この陽が沈むまで眺めていたいのです。
月がぽっかり、わらっています。
薄い雲の向こうに、高い雲
目も眩めと真っ白に光ってる
夏の陽が傾いて、まだ熱い風がふいたよ
階段を上ったさき
残り三段のところで見えるあなたの姿
私を待つあなたを眺めようとしたけど
すぐに目が合っちゃった
とても、とても、ドキドキする
あなただから