一体何を待っているの?
ひとすじの落雷
完璧な夜
全てが正しくなる日
こんなところでずっと何を待っているの?
奇跡が転がり落ちるとき
空からお告げが降りてくる
そんな頂を見ながら
愚図っと立ち尽くしてるだけで
一体何を待っているの
何を目指しているの
何を備えているの
恐怖なんていらないでしょう
思い通りに生きたいでしょう
もう二度と立ち止まらず
走り出してみなよ
間違いを犯すのは怖くないって
もう待たなくて良いんだって
その背中を蹴飛ばしてあげるからさ
だから教えてよ
こんなところでずっと何を待っているの
空気は乾燥してるし毎日嫌なことばっかだしまわりは嫌な奴ばっかだし田舎だし学校遠くて通うのめんどくさいしでもお母さんうるさいからしぶしぶ唇の皮を歯でむきながらほら、ぷぷぷって歯の先でむいた皮吐き出しながらとぼとぼ歩いてたら汽車来てたからでっかい胸揺らしながらホームに向かって階段ダッシュしてわたしの胸はお母さんゆずりの巨乳でずっとコンプレックスで高校卒業したら東京で絶対小さくする手術するんだって三年前から強迫的に浮かんでくる観念にまた頭支配されちゃってわーってなっちゃってホームにうずくまってたらトレンチコートに肩かけ鞄、ハット姿の哀愁漂わせた初老の紳士が大丈夫ですかって声かけてきてうつむいたまま大丈夫ですって言ったら、「そんなに世のなか素晴らしい人いますか? あなたはまわりにばかり求めているようですがあなたは素晴らしい人に見合うだけの人なのでしょうか。まあそんなことはいい。あなたを傷つけてくるような人はあなたより劣った人なのです。そんな人に出会ったとき、わたしだったらほっとします。自分の劣等感を刺激されずにすみますからね」なんてぬかしやがる。
何言ってんだこのじじいって思ってからもう帰ろって思ってとりあえずベンチに座って呼吸ととのえてたらじじい、肩かけ鞄からコンビニのおむすび出してきて、「朝ごはん、食べてますか? 朝食べないから貧血起こすんですよ」って。うつむいてたけど絶対にやにやしてやがるのはわかった。
むかついたわたしはおむすび(沖縄塩)引ったくって貪り食って顔を上げたら地元の観光協会の作った稲荷大明神のオブジェ。
田舎は変化しない。老化するだけだ。塩おむすびび色の雪がまた今年も。けっ、死ねよ。どうせなら稲荷寿司よこせ。
不気味なほどすがすがしいこんな朝に
きみが死ぬことについて考えていた
もう秋だね、もう冬だね、
あたらしい季節にいのちがめぐって
きみはまたひとつ、重力を
羽に変えようとする
そういうところがとても嫌いです
ぼくがぼくでいなくちゃならない
理由をさがす理由が見当たらない
迷子は詩人になりたがって
大切なひとを大切にする方法がわからない
空想のなかで百回きみが死んでも
世界の終わりにながす涙はきっと
きみのかたちをしている
「君が好き」
伝える為に何回も解き直した二次関数。
切片も傾きもXの僕も、
何回も確認して値は合っている
…はずなのに
Yの君はいつも違う数値。
確かめ算だって、グラフの見直しだって、
嫌という程しているのに
Yだけが思った数値と違う
ねえ、教えてよ。
Y(君)は、どこにいるの?