風が吹いて
あなたの黒髪は乱れて
その顔を半分
隠してしまった
嘘。
本当に乱れたのは
僕の心。
「お似合いです、お嬢さま。」
太陽が昇り、姿見の前に立たされた瑛瑠。前日にコーディネートされた服を身につけている。
チャールズの選ぶ服だからか、多少の気恥ずかしさが拭えない。やはり薄い布だけのような服には、未だに多少の不安が残るが、今日のコーディネートはひと味違う。
さて、チャールズの選んだ服であるが。
トップスは黄色のシースルー。この上にはピンクのニットコートが合わせられている。そして、最大のポイントはボトムスであった。
「お嬢さまは初めてではないでしょうか。」
本人よりも断然楽しそうなチャールズが選んだのはワンウォッシュデニム。
確かに、こちらへ着てからも、ワンピースやスカートといったものしか着ていなかったが。
「お嬢さまはスタイルが良いので似合うと思ったんです。」
こういうところだと思う。
さらっと褒めたチャールズは続ける。
「そうと決まれば、トップスは黄色でしょう、春ですからね。そして、まだ少し肌寒いので、脱ぎ着できるように羽織るものを合わせたんです。こちらはピンク。いわゆる、大人可愛いってやつですね。下をデニムにしたので、上は可愛くしてみたんですよ。」
この人は何者だろう。
咳をしても一人
咳をすれば一人
咳をしたい一人
咳をしない一人
咳に気づく一人
咳を恐れ一人
咳に泣いて一人
季節の変わり目の教室。
天気予報の話をした
神事として扱われていた頃の話
きみはつまらなそうに
スカートの裾を払った
その仕草ひとつに
酷く感傷的になってしまった僕は
そんなつまらなさを変えたくて
帰り道 ピアスとホチキスを買って帰った
人物紹介
御影 結月
音楽を愛し音楽のために生きる15歳。
諸事情があり警察の特殊部隊に所属している。高校では軽音部のボーカル&ギターをしている。
中村 時雨
優しく真面目な16歳。結月と同じく警察の特殊部隊に所属している。高校では軽音部のベース。
川上 美月
結月を慕い、いつも付いてくる15歳。かなり早生まれなので敬語を使う。前の二人と同じく警察の特殊部隊に所属している。高校では軽音部のギターをやっている。