文献。瑛瑠が、見ればよかったと後悔したもの。
息を飲む。
「何か、わかりましたか?」
英人は頷いてくれた。それが、心強い。
「10年前とかいう単位の問題じゃない。毎年行われていた。」
ずっと鍵だと思っていた10年前。
毎年、行われていた?
「人間界へ派遣されるプロジェクトが、これまで毎年行われていたらしい。1年ごとにそのメンバーが変わる。」
「待ってください。そのようなことが行われていたと聞いたことがありません。」
英人は頷く。
「10年前、そのプロジェクトは終了した。それ以降は、人間界へ送られたという記録はあがっていない。」
花も 鳥も 風も 月も、
君も 僕も 人と人と中に
愛を感じて 育てていけるように
あの歌みたいなつながりを見つけてみたいと
天守閣の上で夢をみる
私の名前に似た虎と
僕の名前に似た魚
紙とシャープペンシルを用意して。
人間を描いてみよう。出来るだけ粗雑に。
輪郭は最低限それとわかる程度の雑さで流線状にシュッ、シュッ、シュッ、と3、4本くらいで。
顔も適当に、シミュラクラ現象を意識して、トン、トン、トンと。
出来た絵を見てみようか。人間だと思って見ちゃいけない。これを1つのキャラクターとして見るんだ。確かに目も口も輪郭もある。けど何かが欠けている。何か重要な概念が崩壊している。そんな気がしてくる。それが『ナニガシ』だ。
パンケーキを10枚焼いて
桜の模様が散りばめられた
しろいワンプレートの
少し深くて広めのおさらに
1枚ずつ並べた
さて、みんなで食べようか。
ん?
あれ、9枚しか無い。
つまみ食いしたの、
だーれだっ?
私はね、大人になるのが恐い。
子どもって、無限だから。
私は、子どもでいたい。
『雪がとけるとどうなる?』
“水になる”んじゃないよ、“春が来る”んだ。
ほらね、子どもでいたいでしょう?
でもね、子どもでいたいって言うと
大人は怒る。
しょうがないから、黙ってるんだ。
それでも、私はネバーランドにいたいから
ピーターパンに想いを乗せる。
16歳だった私が、ちょっぴり成長してからも続ける
唯一の抵抗。
この世界には質素だけど素敵な花がある
その名前は掃溜菊
ハキダメギクという
とある植物学者が掃き溜めで見つけ
付いた名前
今の世界って掃溜菊のよう
せっかく素敵なものも
掃き溜めのゴミにまみれて汚く見えてしまう
本当は素敵な人に巡りあえることもあるのに
一部の汚い人のせいで汚れてしまう
悪くない人が責められて
泣いて掃き溜めが増えていく
そんな悲しい世界
だけど掃溜菊の花言葉を思い出して
「不屈の精神」「豊富」
ゴミ出し場で必死に胸を張って咲いている掃溜菊
目立たぬように小さな花を咲かせて
変化を見極めながら
背筋をシャキッと伸ばす掃溜菊
さぁ、あなたも姿勢を伸ばして。