なんにもない静寂の昼下がり
ぱちゃん
小さな水飛沫僕に浴びせて
綺麗な紅い尾翻した君の振り向き様
同じ紅の唇歪めて何か言おうとしたのかい
こんなに静かなのになにも届かないよ
僕の耳には遠くの人の嗤い声だけさ
僕を嗤ってる
君を嗤ってる
水面に残った泡沫に
反射したひとつの光
音もなく弾けて消えた
もうずっとこの湿っぽい真っ暗闇で
ずっとずっとずっと前から
君のこと待っているんだ
時間なんてとっくの昔に忘れちゃうくらい
ねえ
君は僕のことなんて忘れちゃったかな
ちっちゃい頃の思い出に閉じ込めたまま
寝るときも食べるときも一緒にいたけれど
いつのまにか大人になった君
僕はここでお留守番
君はいつ会いに来てくれるのかな
淋しくなんてないよ
君はちょっと向こうに行ってるだけ
いつか僕のこと迎えに来てくれるよね
いつか
いつか
いつか
いつだろう
でもあんまり放って置かないでね
待ち草臥れちゃうよ
いつでもいいから会いに来てよ
絶対置いてかないでね
たまには一緒に眠りたいの
ずっとここで待ってるから
君のこと
またぎゅっと抱きしめて
おなじ が ふたつ 集まれば
ふつう に なるかな
それじゃ、たりないかな
それは ただの
ぼくたちだけのふつう かな
雪の降り積もる街で
ひとりぼっちでツリーを見上げる
光がとても綺麗だわ。
涙を流している私を横目に人々は過ぎていく
違うのよ。一人だから泣いてるんじゃないのよ。
どんどん冷えていく空気に目を瞑る
瞑った目に眩しさを感じて
目を開けると暖かい光に包まれた
手を振って近づいてくる「彼」に笑顔を向ける
もう、待ってたのよ。
目元の涙はもう渇いていた
クリスマス
街はキラキラ リア充もキラキラ
座禅組はドロドロとしている
聖夜が街を照らす中
俺は1人でリア充を睨む
「まったく...あの時挑みかかるだけが能の満身創痍な少女がまさかここまでとは思わなかったよ...いい加減、その仮面をとったらどうだ茉梨」
「えっ...」
「やはり気づいていたか...声を変えたくらいじゃダメだったか」
「どう頑張っても戦うときにクセってもんが出てくるんだ。俺も昔、よくそれで怒られたっけな」
「ナイトローグが...茉梨先輩...?」
「ごめんね、こっちの方が動きやすかったから」
「そんな体で...何でこんな無茶を!」
「これが私の...覚悟だから」
「なるほどな、贖罪ってワケか」
「あの日、私はアイツに...イリスに体を乗っ取られて多くの人達を傷つけた」
「でも...」
「そして、私はもう長くない...だからせめて、子供達の未来を守る!」
「先輩が抱え込む必要はないのに...あの日の責任は私にもあります。だからもう...やめて...」
「ごめん、もう...決めたから」
「まって!」
「...行かせてやれ」
「どうしてですか、先生は...茉梨先輩を見殺しにしろと!?」
「違う。一度死んだからわかるんだ...命が燃え尽きる間際だけは、何でもできるって」
「それでも...」
「...変わらないな、お前も...」