恋愛即ち一輪の可憐な花
と、思っている諸君
恋は花鋏では切れないよ
メスで切り取るんだ
切れ味が鋭いから
段々と痛みが感ぜられるさ
大人ニナッタノダカラ
モウ夢ヲ語ルコトハ辞メマス
自ラノ愚カシサデ足ヲ挫クナド
アッテハナラヌコトナノデスカラ
先ヲ往ク者、ソシテ見習ウ者トシテ
ワタシハ立派ナ社会人トナルノデス
モウ失敗ヲ犯シマセン
ワタシハ大人トナルノデスカラ
決シテ逃ゲマセン
涙ヲノンデ精一杯働キマス
総てここに生きる者は
この文を巫山戯た口調で云い給へ
溢れた想いを君に伝える
風になびくその黒髪や
どこか遠くを見つめる綺麗な瞳
君の全てが愛おしい
「ごめんなさい」
真っ直ぐに僕を見つめる君と
頭が真っ白な僕
時が止まり、音も無い
いつのまにか君はいなかった
「ごめんなさい」
まだ聞こえる君の少し震えた声
僕は気づいていなかった
涙に乗せた君の想いを
身体が動かなくなってから、もうどれくらいが経ちましたかねぇ。
私が起き上がらなくなったあの日、ご主人たちはその瞳からたくさんの涙をこぼしながら私を見つめていらっしゃいました。ご主人たちの使う言葉は、私には理解できませんが、きっと、私が消えてしまうと心配されたのでしょうねぇ。私もすぐにでも消えてしまうものだと思っていましたよ。
けれど、ついに、ここまで生きることができました。ご主人と、ご主人のつがい──パートナーと言うのですか?その二人の匂いが混ざり合った、新たな命がこの家にやってくるまで。その子の匂いを感じることができて、ホッとしましたよ。
さて、ご主人。
そろそろ、時間のようです。
あぁ、ご主人、そんなに泣かないでください。涙の匂いは塩辛くていけません。私まで開かないはずの目から雫が溢れそうではないですか。
あぁ、ご主人。
あなたは今、その体温で私を包んでくださっているのですね。
わかりますよ。ご主人のことですから。それに、ご主人が私のことを可愛がってくれる時には、いつもとは違う匂いがするのですよ。今日はもう──今までで一番の、私の拙い言葉では表せないような匂いが、しています。
あぁ、ご主人。私は幸せ者です。
ご主人の優しさに包まれ、ご主人の愛の匂いを感じながら、向こうへ逝くことができるのですから。
あぁ、でも、もし、神様がいるのならば。
あと少し、あと、ほんの少しでいいのです。この幸せな体験を、私の魂に染み渡らせるだけの時間があればいいのです。
あと、ほんの少しだけ。
このままでいてもいいですか?
とある少年が、美術の授業のとき、青いヒマワリを描いた。先生は怒って「見たとおりにかけ」といったところ、少年は「見たとおりに描いたらこうなった」と答えた。少年は、黄色いものが青く見えたり、とにかく色彩感覚が他と違うらしいのだと答えた。
……バシッ
「いたっ」
「どうして一秒でばれる嘘をつくんだよ」
好きな人の
好きな人でない
ということは
好きを諦める理由にはなるが
好きでいてはいけない理由には
もちろんならない。
好きな人が
好きな人でなくなる
ということは
好きになろうとする理由にはなるが
好きでいなければいけない理由には
もちろんならない。
何が言いたいかって?
失恋は自らの決めつけってことだ。
てらを