さよなら、美しき世界
さよなら、愛しき日々
白い翼の“元”人間は
雲の狭間で優しく哂う
嘘の自分とか
本当の自分とかっていうけど
本物も偽物も無いと思う
だって、いつだって君は君で
僕は僕だから
人によって態度が違っても
それはいろんな自分がいるってことで
それは全部本物だから
結月視点
満月のあの日から数日が経った。
まだはっきりとはわからない。
時雨ちゃんは元に戻るのか、涼香はこのまま生き続けられるのか。僕にはどうしようもない。そう思ったが、僕を助けてくれたあの二人が、辛いのは嫌だ。今度は僕があの二人を助けようと思った。僕はあの二人が大好きだから、今僕がここにいるのは、二人のおかげだから、僕が助けたいと思った。
時雨視点
最近、どうもおかしい。断片的に記憶がない。しかも、夜の間だけ。どうしちゃったんだろう、私。でも、時間が経って行くほど、どんどん記憶がない時間が増えている気がする。
それに結月の元気が最近ない。どうしてだろう。
涼香も守れずに、のうのうと生きている私は結月も失うのかな。そのうち、美月も玲も離れて行くのかな。でも、失いたくない。守らなきゃいけない。今度こそ。
私が私を失ったって。
私がみんなを失う方が嫌だから。
私なんかに守れるかわからないけど。
『時雨ちゃん、私なんかって言わないで。』
時雨ちゃんは誰よりも素敵だよ。自分に自信持ってよ。自分のこと認めてよ!』
いつかの夕暮れの中で結月に言われた言葉。
私が守らなくてどうするんだろう。
ああ、また支えられてばっかじゃん。
結月の方が何倍も辛い筈なのに。
私、頑張るから、みててね。
涼香。
【続く】
君が君でいることを強制するような世界なら
僕は君をその世界から逃がしてしまいたいんだ
だってきっと、世界から強制された君は君じゃないんだから。
君が君であることを強制するのなら
僕はそれを止めることはできない。
決めたのが君であるのならば、僕が何をしたところで結局は無駄だ。
けれど、僕は。
君が、ただ君であればいいなって、そう思うよ。
終わらせようとしたら
怒られてしまった
わたしの気持ちを思い出したいよ
君が好きだって
あんな滅茶苦茶な運営はそうそうないけれど
世界を再現し、シンプルに分かりやすくしてくれたのはありがたい
鏡も現実もあんなもんだ
人が人を蹴落として
誰もが生き残ることしか考えてなくて
みんながみんな、心に化物を飼っていて
慈しみなんてまやかしみたいなもので
いつも満たされなくて、終わらない
消えてしまうのは負けたから
どこでだってそう
居場所なんてなくて
勝ち取らなきゃならなくて
でもどれだけ勝ち進んでも最後に待ってるのは無惨な死で
知らぬ間にそんなところに放り出される僕たちは
何かそれ相応のことをしたのだろうな
幻
って辞書で調べたらはかないものって出てきた
暗いイメージしかなくて
そんな言葉似合わないって思った
はかない
って辞書で調べたら長く続かない・むなしいって出てきた
調べてる時一番にあなたに伝えたいって思いながらページをめくってた
あなたに言ったら
じゃあ友達も幻だ
って
私たちはなんてゆう言葉がにあうの
やっぱり幻かな
ああ ここじゃなかったな
愛の間に割って入った
この心中を誰か察してくれ
泣きあって抱き合って泣きましょうと
まさに愛を育むそのなかに
こんなどうでもよさげな気持ちと言葉を
挟み込んではいけなかった
そこまでいけていないのに
言葉も行動も軽々しい
そんな男の両サイド
輝かしくも重厚なふたり
美しさのなんたるかを語る
ふたりの詩人のなかでひとり
女子校の踊り場に立つような場違い感
愛か恋かもわからんやつが
コアラを見たような顔で突っ立っている
いっそのこと羞恥心ごと
擦り切れてしまいたい
削り取ってしまわれたい
君とはうまくいかない
趣味なんかが全然違うんだもの
私が好きなものをあなたは知らない
お互いに知っていくなんて時間は
もう終わっていたの
好きだって私が言ったら
ごめんなさいって
言って