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夢幻

夏の群青色はあまりにも儚く泡沫のようで

無限に広がっていると信じて疑わなかった宵闇に
華を咲かせた

神社の隅に刹那の火花を散らし
ぽとりと落ちた最後の線香花火
少女の姿も闇に呑まれて消えてしまった

真っ紅な金魚はビニール袋に
揺られ揺られ揺られ

飴細工の金魚はあの子の口に
溶ける溶ける溶ける

人気の無い路地の薄い薄い水溜まりの上
跳ねる跳ねる跳ねる
うろこが光る

夏祭りに消えたクラスメイトのおんなのこ
純白の浴衣に下駄を鳴らす

からん、ころん、カラン、コロン、

ラムネ売りがB玉片手に手招き
儚い儚い脆い脆い



……嗚呼、それでも見たいのかい?

サァサァ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
そこのお嬢ちゃん。


……お代は何でも、見てのお帰りで結構だよ。

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特等席で甘いものでも。

カマトトぶってる
キミの横顔
ゴマカシの利いた可愛さに
オンナのコの夏を見た
リスタートの足取りは軽い

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プラネタリウム

足先から訪れる夏
きみの赤色は無敵だよ
夜を吸いこんだちいさな虫が
ゆっくりと産声をあげる
生産性のない羽の傷あと

深夜二時を告げるラジオ
珈琲の良さがわからないこども
爆発はロマンだから映画は人生で
いつでも旅に出られるように
荷物はできるだけ少ないほうがいい

神さま、あなたの心臓はどんなかたち?
死んだら星になるって信じているひとの
目のなかのきらめきは、つまり いのちだ

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こんにちは

久しぶりだね。

みんな元気にしてますか?

なかなか顔を出せなくてごめんね。

私の事覚えてくれてたかな。

忘れてたら無理して思い出さなくていいよ。

こっちは忙しくて疲れます‪。

でも、楽しい。

数ヶ月前よりはるかに、楽しい。

馬鹿なことで笑える友達ができました。

一緒にお弁当を食べる友達ができました。

毎日毎日楽しく過ごせるっていいね。

たまにはこっちにも顔だそうかなと思います。

見かけたら声掛けてくれると嬉しいな。

それじゃ

またね。


サキホ

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知らなくて

あなたと交わした言葉が
あなたとつくった思い出が
全部後になって
自分の心を引き裂くなんて
思ってなかったんだ
1つの単語
1つの表情
1つの仕草
どれもこれも突き刺さって
痛くて痛くて
涙しかでない

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動け7月
なにかいいことを連れてこい
動け私
自分の手でいいことを創りだせ
始まる夏に怯んでる暇はないからさ

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蜂の巣と喧嘩

勿体ぶった言い方はやめて
守る気のない口約束も
夜にチラホラ浮かんでる灯も
猫を被ったあなたみたいで
イラつく頭をシャワーで流す
今日はふたりで 今夜2人で夜を泳ぐ
真っ白な絹の海に波をたてる
一緒に溺れてくれないの?
わかったわ じゃあわたしが
引きずり込んであげる

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向こう側

ふだんとは違う
み開拓の
きみに会いたくて
りん界点を超える

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手の届かなさが美しい

たんぽぽが咲いている
かけ値なく美しい
ね過ごした休日は
のんびりと流れていった
はな歌まじりのきみの声
なかなか寝心地のいい春だった

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黄色い線までお下がりください

階段を一段飛ばしで
一気に駆け上がる
空の色が気になって
配り終えた花のかごに
レインコートをしまうと
疲れ切ったあなたの顔を見つけた
深夜を乗り越えた僕らには
やっぱり朝日が良く似合う