*黒ヤギさんがボヤいてた
白ヤギさんから返事が来ない
白ヤギさんはお仕事中です
朝は眠ってて夜のお仕事です
毛並みが荒れてしまったいまでも
それでもあなたを忘れられない
だって体が覚えちゃってる
わんちゃんでもお馬さんでもなくて
真っ黒な毛色のあなたのことを
二人きりのあの部屋のなかで
10分後にはオオカミになる
猫を被った様な羊頭の黒ヤギさん
べつにそんなの見たくないけど
キミだけだよとか言われたら
「特別」感じてしまいます
*白ヤギさんが悩んでた
黒ヤギさんへの返事が書けない
わんちゃんねこちゃんお馬さんに羊さん
リップサービスの「また来てね」
でも 黒ヤギさんには待ってるね
最近 黒ヤギさんにハマってるね
顧客の数だけ持ってる番号
黒ヤギさんにだけ押しそうなハンコ
恋心?そうかこれが「特別」の正体だ
そうとわかれば我が家に招待だ
いま始まる私のハッピーバースデー
とりあえず本物のアカウント
渡しとく 私「特別」感じてます
弱虫だ
弱虫なんだ
君に声もかけられない弱虫
勝手に待って
結局来なくて
寂しいなんて甘えられずに
開いていく君との距離に
耐えられずに涙を流して
明日になったら君の気持ちも
変わるかもしれないのに
何も出来ない話せない
こんな私のどこが好きなの
「あ、あと! あと! ハルカは小学校からの異能力者仲間なんだ!」
「ちょ、ちょっと亜理那ぁ!」
突然の発言に、鷲尾さんは動揺した。
「なんてこと言うの⁈ バレちゃいけないのに…! 常人に見えている世界から隠さなきゃいけないモノを、何で…」
もう信じらんない…と彼女は手で顔を覆い隠す。
あ、勘違いしないで!と亜理那は慌てて鷲尾さんに説明する。
「あのね、サヤカはただの常人だけど前々から異能力のことを知ってるんだ! だから大丈夫! 多分他の普通の人たちには言ってないし!」
だから安心して!と亜理那は鷲尾さんを落ち着かせようとした。
それを聞いた鷲尾さんは静かに顔を上げる。
「多分て…それでも1人にバレてる時点で相当大変なことなんだけど?」
あーっ、まぁね…と亜理那はうなずく。
「でも、サヤカはサヤカの方で異能力知るキッカケになった人たちに脅しとかかけられてるハズだから! きっと平気!」
確かにそうだけど…わたしは多分言ってないのに、何で亜理那はその事を知ってる?
…それにしても、亜理那が会わせたい人って、予想通りやっぱり異能力者だったんだな、とわたしは思った。
まぁ、それがまさか面識のある人だとは思わなかったけど。