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夜静

僕の声は響いたか?
君の声は響いたか?
静寂を駆ける赤い閃光
夜の景色を裂いた

僕の声は届いたか?
君の声は飛んだか?
夜を彩る白いリボン
静寂な世界を撫でた

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愛とつぐない

まだもう少し
愛を信じてもいいですか
くだらない正義を振りかざして
こころに正しさを求めないで
そんな言葉は聞き飽きたから

あともう少し
愛を信じてもいいですか
あたしの中のこの疑心が
どれだけあたしを傷つけるかは
煩わしいほどわかってるから

だからもう少し
愛を信じてもいいですか
あぁ あたしはどうやって
あなたを少しも失わずに
抱きしめることができるのか

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瑠璃のビードロ
ほつれたブロンド
胸に思い続ける翡翠
その、絡み合って解けない三つ編み

私が世界を見るとき
世界を見るのは私であって
その私が美しいと思ったのだ
他の誰の意見を求めようか

私だけの涙、
私だけのヴァイオレット。

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「同じ空の下にいる」とは使いふるされた本当のことば。

同じ空の下に

あの鳥がいる
あの写真の子がいる
あの俳優がいる
あのひとがいる
あなたがいる

戦争が居る

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桜木ノア #12 9月某日

社会資料室に篭っていた桜木は涙を流していた。
目の前で女子が涙を流しているというのに俺は何もできない。しばらくお互いに固まったままだった。
「……ごめん」
沈黙を破ったのは震え声の謝罪だった。
「……みんな心配してたぞ」
「……あ」
桜木は一段と申し訳なさそうな顔をして
「みんなのこと、忘れてた」
と言った。
正直、怒りたくもなったが、泣いている女子をさらに泣かせる趣味はない。ここはノータッチでいくことにした。いや、俺にはノータッチにしておくことしかできない。桜木がなぜここに逃げ込んできたのか、なぜ泣いていたのか、なんと声をかけていいのか、何も知らないのだから。
「ごめんね。自分のことでいっぱいいっぱいで」
啜り泣き程度に落ち着いてきたらしい桜木は、どこから話したものかと思案する表情を見せた。
「……聞いてくれる?」
「この状況で人を見捨てるほど薄情じゃない」
あはは、と笑うよりはそう言って。
桜木ノアは打ち明けた。
意味わからないかもしれないけど、と前置きして。

「私はね、日常的に日常生活ができないの」