「そりゃね。大体すべての事の発端はアンタだし」
ネロはわたしの方を指差して言った。
「いや若干ネロも絡んでるだろそこ」
師郎にそう突っ込まれて、ネロはうぐ…とうろたえた。
そんな彼らを見ていて、わたしはふとこの間の事を思い出した。
「…ねぇ黎」
わたしの発言で、彼らの視線がつっとこちらに集まる。
「この間会った時さー…どっか行ってたの?」
「…」
黎の視線が静かに向こうを向いた。
「おいお前、そういうの100パーこの人答えないぞ」
「え、別にいいじゃんそれくらい…」
耀平に軽く突っ込まれたが、わたしは気にせず黎と会話を続けようとした、が…
「…別にどうでもよくない?」
「え」
少し間が空いてからの返答だったから、わたしはわたしで言葉がちゃんと出なかった。
「…そもそも、話す気ねぇし…お前とは特に」
その一言に、わたしは凍り付いてしまった。
「わぁ!可愛いぃー!!」
「写真撮ろ!!」
「いただきまーす!」
パクッ
「あ…」
ーーーーーーーーーーーーー
「マカロン美味しかったねぇ…」
「うん。」
「あ!見て!月出てる!」
「ほんとだ!三日月じゃないの残念…」
「たしかに。でも、私、月好きだな」
「つーかキタさん、どこに行ってたんだ?」
真琴が尋ねた。
「ちょっとハブアウィル次元にねー。バレないように上空600mくらいからこっそり見てただけだったけど、ネロちゃんとコマイヌがじゃれ合ってたり、黎君が他の異能力者から話聞いてたり、セイレーンさんが路上ライブしたりしてた」
「で、キタさん、いや、嵐山斎六さん?一体どういうことなのか説明していただきたいのですが」
初が切り出した。
「キタさんの能力は確か、『普通なら見えないものを可視化する』、だったはずです。空間に穴開けるとか別次元に行くとか、そういうのは範疇の外な気がするんですが」
「良い質問だねぇ。これだよ、これ」
そう言ってキタが自分の右眼を指差した。いつの間にかその眼にモノクルがかけられている。
「それは?」
「オータロー、ラモス、君達も能力発動時に、能力に話しかけられることがあるだろう?」
随分と久し振りの呼び名を使って、キタが説明を始めた。
「僕はあれを便宜上『能力生命体』と呼んでいるんだがね、『生命体』の名の通り、彼らはただ脳内に話しかけてくるだけのものじゃあない。実体があるんだ。その実体のほんの一部だけを借りたんだよ」
「へえ、『具象体』に似てるな」
先程まで離れた位置でネコと遊んでいたぬえが割り込んできた。
「うん、まあそういう考え方であまり間違っちゃいないよ」
「けどさあ、それとさっきの現象、どう関係するんだ?」
真琴が訊く。
「可視化を利用した幻覚の応用編みたいなもんだね。人間は外から取り入れる情報の七、八割を視覚に頼ってるんだ。その視覚を操れれば、偽薬効果の要領で、思い込みだけで幻覚を実体化させることも可能なんだ」
「無茶苦茶じゃね?」
「そこは能力の不思議パワーってことで。一部を借りたときは、どうやら能力の威力も上がるらしいし」
「へー。面白いなー。もしかして僕らもそれ出来たりすんのかな」
「まあ、能力側の気が向いたらね」
「あ、そういやお前、何ていうんだ?」
真琴が突然に吾魂に聞いた。
「あ、ぼ、僕ですかい!?………うん、僕は嵯峨野吾魂だ。それより前の名前はもう良いや。どうせ死のうとしてた身だしな。気が向いたら教えるよ。能力は『どんぐりころころ』。『志半ばにして死ぬとき、その遺志を他者に継承する』能力だ。よろしく」
仲良くしてくれてありがとね
に
こちらこそ笑
なんて返してくるあなたはほんとにずるいなぁ
私にはあなたしかいないのに
あなたにとってはたくさんいる中の1人なんだよね
だってそうじゃなきゃ
仲良くなることすら出来なかったもの
フレンドリーなところは
あなたの取り柄であり
私の不安要素なの
あなたの
しゃべる声も、楽しかった
ざつだんも、あなたの
わらい声も
きょうからはもう聞こえなくなってしまうなんて
うそみたいです。でも、これからはこの学校より
とおくから、私たちを見守ってくださるのは
うそじゃないって思っています。そして5年間、
お疲れ様でした。あ
しざわ教頭は誰より
も、生徒思いな気が
しています。これがと
どいたら、わたしはう
れしいです。
カレが来る気配がした
あぁ、また来てしまったのか
ってぼんやりとした頭で思う
私の苦手なカレ
カレはいつも私について来て私の居場所を奪っていく
重い気持ちのまま私は荷物をまとめた
ここも私の居場所では無かったんだな
次こそカレの来ない私だけの居場所を見つけたい
そう思いながら私はまた長い長い旅に出る
君の存在が私の心を癒してくれる
学校にいると震えが止まらないのに
君がいるとちょっとはましになる気がするんだ
お願いだから遅刻しないでよ
1時間目の体調はさんざんになっちゃうから
なんて
ほんとのことは言えないから
遠回しにしか伝えられない
ねぇ、同じ空間にいられなくなったら
君と目を合わせて微笑み合えることが
少なくなってしまったら
私は学校に行けなくなってしまうのかな
パラレルスペック 3rd.詩集
「SEPTEMBER」
テーマ : 終わりと始まり
1.プロローグ。
2.9月9日、
3.SHUFFLE再生
4.窓ぎわのペットちゃん
5.SEPTEMBER
6.カフェ・ド・オレ
7.リンスINシャンプー
8.GAME SET
9.エピローグ。
*パラレルスペックのまとめ
または、ポエム掲示板まとめまで
途切れそうな発車bellで
滑り込んだ9番ホーム
今、髪と心だけふるわせて
ワサビ色の電車 見送った
SEPTEMBERはさよならの駅
恋に乗り遅れた人たちが
SEPTEMBERに立ち止まって
次の出会いを待っている
daytimeの一瞬 この駅は
0番ホームまで見渡せる
今、折り返し電車が遮った
カラシ色したワンピース
SEPTEMBERははじまりの駅
隣には似合いの誰かさん
SEPTEMBERに君は変わった
新しい人と出発するんだね
SEPTEMBERは恋のターミナル
皆んなこの駅で折り返す
SEPTEMBERでゼロになって
僕が次の電車に乗っても
REMEMBER 君との夏は忘れない