わたしのことかわいいっていったんじゃないよね
わかってるよ
わたしだってばかじゃないんだもん
何日か前
言いたいこと言ったら笑われたよ
なんで俺が笑われなきゃいけねえんだよ
俺が何したんだよ
俺の何を知ってるんだよ
俺でも俺は知らねえんだぞ
お前なんかが知ってるわけねえだろ
「病んでるね(笑)」って
何のつもりなんだよ
病んでて何が悪いんだよ
俺は誰にも迷惑かけてねえだろ
「どうやったら友達出来るのかな」って言っただけなのに
なんで友達でもないお前に笑われなきゃいけねえんだよ
「病んでるね(笑)」っていうんだったら
俺の病み治してくれよ
治せるんだろ?
なあ、笑うなら笑わせてくれよ
笑わせてやったんだから
その分の対価を俺にくれよ
結月視点
「瑠衣にあったことあるのか?」
僕が玲に尋ねると、玲は顔を顰めて
「…わからないんですよ。でも、きっと瑠衣ちゃんなんだと思います。私が実家を出たのは、中学校一年生の時なんです。それから、私がもともと居たあの犯罪集団に拾われました。でも、私たち姉妹が離れ離れになった理由は確かに覚えています。」
と、答えた。
「どうしてなのか言えるか?」
「…それは、少し待ってもらえますか」
そう言い放つ玲の表情はどこか辛そうだった。
玲視点
思い出したくもない、あの両親。憎悪の念があふれてくる。顔だって覚えていない。結月さんに質問をされていたことを思い出し、結月さんの顔を見る。私と同い年だとは思えないほど、大人びたその行動。不安そうなその表情。嗚呼、また誰かを困らせてしまった。こんな有様だから捨てられてしまうんだ。
意を決して結月さんに向き合う。
「私の昔話、聞いてくれますか?」
そう尋ねれば、一歩私に歩み寄って微笑みながら彼女は頷いた。どうしてだろう、いつからだろう、人から向けられる優しさが怖くなったのは。また、私のせいで傷つけてしまうのだろうか。どうして、その瞳はそんなに澄み切っているのだろうか。
そんなことを考えていれば、彼女は口を開いた。
「怖がらなくていいよ。辛かったら、途中で言うのをやめてもいい。大丈夫、玲も瑠衣も僕が守るから。」
その目は真っすぐ私を見つめていて。どうしてこんなにもこの人は優しいのだろうか。その優しさですら、不快に感じてしまうほどに私は愚かで。
でも、この人は信用してもいいのかもしれない。
僕が広げた翼は昨日
黒だった
でも今日は
白だった
黒 白 何度も変化を繰り返す
黒い時は何者にも染まらない
でも
白い時は簡単に何色にも染まる
そんな不思議な
翼を僕は持っている
約束通りあなたに
大事な人のあなたに
大事なことを伝えたのです
きれいなことばじゃない
感動するようなことばでもない
夢への決意とかでもない
でもあなたの笑顔が見たくて
あなたに笑ってもらいたくて
私は
あなたに会いに行ったのだから
ふざけた私だけれど
ただ一つ忘れちゃいけないことがあって
それはあなたに伝える
ありがとう、でした
DAY DREAM 夢の中で
君に会った気がしたよ
SAY DREAM 夢の中で
ふたりは夢を語り合ったよ
青く澄んだ冬の空
ひこうき雲が続いてる…
北風が吹くベンチで
暗くなるまで話し合ったね
缶コーヒーの温もり
もう二度と戻れない夢の日
DAY DREAM 夢の中で
君は夢を叶えていたね
LAY DREAM 夢の中で
寝顔を見るのは僕じゃない
フカフカのベッド
一人だけでは広すぎる…
北風が吹くベンチで
暗くなるまで話し合ったね
缶コーヒーの温もり
ぜんぶ夢だったら良かったのにね
五人の男が歩いていた。
以下は彼らの末路である。
一人は上を向いて歩いていた。その結果、ほんの少し頭を出していた石ころに気付かず躓いて転んでしまった。
一人は下ばかり向いて歩いていた。その結果、頭の高さにせり出した木の枝に気付かず、頭から突っ込んで驚きのあまり倒れ込んでしまった。
一人は横を向いて他の奴の様子ばかり見ていた。その結果、前の二人が次々と脱落していくのを見てまごついているうちに、はぐれてしまった。
一人は、ただまっすぐ前だけを見て歩いていた。その結果、迷わず歩き続けることができたが、星の美しさも雲の美しさも草花の美しさも知ることは無かった。
一人は、キョロキョロとしてばかりいて、落ち着きが無かった。その結果、様々な美しいものを見ることができた。
以下は彼らを見た人間の言葉である。
一人目は駄目だ。上しか見ていないのでは足を掬われる。
二人目は駄目だ。陰気に下ばかり見ていて、真実は何一つ見えていない。
三人目は駄目だ。一人で歩けないような奴が、どうして歩こうなどと思ったのか。
四人目は素晴らしい。何にも揺らがず真っ直ぐ行くべき道を進む。あれこそ人間のあるべきあり方だ。
五人目は駄目だ。あんな落ち着きの無い奴、社会に適合できるわけが無い。そもそもあんな奴と居るなんて、周りに何か言われたら恥ずかしくってしょうがない。