表示件数
0

足りないのは酸素なのか
それとも君なのか
胸が苦しくなるよ

3

お久しぶりです。

お久しぶりです。

そして……ただいま。

覚えてますか?
最近はリアルの方が忙しくて全然書き込めなくて…
授業も聞けずだった…
だから今、ここでどんなイベントをしてるのかとか分からないので教えてくれたら嬉しいです。
これからは気が向いたら書き込もうと思ってます。

あの時仲良くしてくれてた子は覚えてくれてるでしょうか…?
また仲良くしましょう?


居場所があるっていいですね。

0

めぐり迷路

あれ。わかんない。どうやったら出れるんだっけ。この曲がりくねった迷路。あーあ、また忘れちゃった。いい加減覚えろよ。要領悪いな、自分。
ねえ、さっきから行き止まりにぶつかってばっかで、めちゃくちゃ苦しい。怖くて怖くて、また歩き出す勇気がないんだ。教えてよー、けち。私はどうすればいいんだ。
スタートから、どのくらい経ったんだろう。心配してくれてる人いるのかな。なんてね、ごめん、冗談だよ。いつものしょうもないヤツ。君だってしょうもないの嫌いじゃないでしょ。
今の真っ暗闇を抜け出して、ゴールしたらどんな景色が見えるだろう。また真っ暗闇だったりするのかな。だったらちょっと残念だけど、あまりに高い理想は外れた時の代償が大きすぎるからそういうことにしといてあげよう。
昨日も、今日も、明日も、もしかしたらずっとずっと迷路の中かもしれない。でも、私とっとと迷路から抜け出せるような奴じゃないから。このくらいがちょうどいいのかもね。生きてる中で、たった一回外を見られたなら、私はそれだけで幸せ。四つ葉のクローバーを見つけられたくらいの、ね。

1

とある農家の仏壇前で

「おとう、これ被ってもいいの?」
小さな手は確実に狐のお面を指していた。
この家には、お盆になると仏壇に狐のお面を供える風習があった。
「ああ、いいぞ」
父親はそのお面を息子へ手渡した。きらきらと宝石以上に輝く目がそれへと向く。神物を扱うかのようにおそるおそる触っている。父親はふっと力を抜いて笑うと
「ほら、貸してみなさい」
と言って息子の顔が見えるように、顔の横にお面をつけた。
「どう? 似合ってる?」
「ああ、似合ってるよ。とても」
狐のお面の白色が、息子の消えてしまいそうなくらい白い肌によく合っていた。少年はくるくると嬉しそうに舞を決め、しばしば存在を確認するようにお面を触っていた。
しかし、屈託のない息子の笑顔と、凛々しく遠くを見る狐の顔が、どうしても対照的に見えてしまうのが父親にとっては悲しかった。
それは、息子の寿命が決して長くはないからであった。

……お稲荷様、俺らの稲は守らなくてもいい。お願いだから、息子を救ってください。

そう心の中で呟けば呟くほど、息子の嬉しそうな姿が霞んでいくのだった。

0

ぬいぐるみ

分かってる 全部知ってるよ
君は涙を我慢してるってことくらい
私あなたに出会った日から誰より側で見て来たから
もちろん泣いてるあなたの側にもいたもの
お出かけの時も お布団に入る前も
1番に抱きしめてくれていたから
全部知ってるんだ
今は近くじゃなくて遠くからだけど
いつまでもあなたの側にいてあげるから
大丈夫だよ 行ってらっしゃい

0

一つの作品を作るに当たって

一つの作品を作る。その為に冷静に話して
作品を作っていく。より良い作品を作る。その為に
集中して取り組む。人間的な感情は必要無い。
でもその作品に必要なら迷わず使うべき。

1

冬至

あれは、いつ頃の事だっただろうか。まだ京都に住んでいたから恐らく小学校に上がる前の話だろう。私には毎日のように遊んでいた男の子がいた気がする。着物を着て狐のお面をかぶった男の子。こんな話をすると友達はみんな「夢だよ。今どきそんな恰好してる子いないよー」という。両親も覚えていないみたいだ。でも、私は覚えてる。あの夕焼けを。あの言葉を。
※※※
「あかりー?なにやってるの?そっちじゃないよ!こっち!こっち!!」
「あかり、本当に京都住んでたことあるのー?迷子にならないでねー?」
「ごめん。ごめん。住んでたことあるって言っても小学校上がるまでだから覚えてるわけないじゃんっ!」
「でもさ、祇園の街並みってあかりの夢にでてきたっていう狐のお面の男の子とか出てきそうじゃない?」
ゆっこが笑いながら言った。
「確かに・・・!!」
「京都はやっぱりあやかしとか似合うよねー!」
「だから、夢じゃないってばっ!」
※※※
『今日は一年で一番夜が長い日なんだよ。京の都には夜が似合う。』 
何もないところで躓いて転んで泣きじゃくる私の前で男の子は唐突に言った。刻々と夜の色に染まっていく夕焼けに照らされた神社の鳥居。
『さあ、泣き止んで。転んだことで厄は払えた。きっとこの先良いことが起こるよ。ほらもう君は帰りな。』
※※※
「あかり!!!あぶない!!!!!!!車!!!!!」
ゆっこの声が耳の端っこで聞こえた時、私は急に強い力で後ろに引っ張られ歩道に倒れこんだ。
「どんくさいのは相変わらずだな。」
耳元で笑いを含んだ声がした。何処か懐かしいような声色で私は慌てて顔を上げようとした時、
「あかりー!!!大丈夫!?!?!?」
ゆっこ達が駆けて来るのが目の端に映った。気づいたら私を支えていた手は離れていた。去っていくその人は黒髪の着物姿だった。
(お礼が言えなかった・・・)
「あかり。大丈夫だった!?!?!?!」
「無事で良かったよぉ」
「ねえねえ!!!あの人かっこよかったね!!!」
「それな!!!背高くてめっちゃ着物似合ってたし!!!」
「ねえ、あかり。あの人狐のお面付けてたよ。」
ゆっこが言った。

暮れ行れ時のひんやりとした空気の中、夕陽を背景にぽつぽつと街に灯りが燈っていく。
今日は一年で一番夜が長い日。