ガラス細工の立派な花瓶
すみれの花をさしてみる
花瓶の方がずっと豪華で
すみれは頰をほてらせた
「私なんか」と遠慮して
主役の座を花瓶にゆずる
あまりに健気なすみれを
私は思わずそっとなでる
スケッチブックの表紙に
紫の絵の具がシミを作る
それを指でそっとなぞり
六枚の花びらを描きあげ
細い緑の茎を伸ばしつつ
少し迷って絵筆を置いて
花瓶は描かない事にした
風がそっとすみれを撫でる
悲しみ+哀しみ+苦しみ+嫉妬÷2=喜び+愛しさ+切なさ+楽しさ÷2=愛
イコールで結べるものは滅多にない。
僕は凡人だ、
天才にはなれなかった。
でもそれでいい、羨ましくはない
だって僕は凡人だから
僕は何者にでもなれる