真っ赤な薔薇を差し出して
君は不敵に笑うのさ
敵わないなと伝えると
小首をかしげ、微笑んだ
こんな冴えない日々には
君のこと妄想してる
ほおが熱を帯びるほど
君のしぐさに心惹かれる
・・でも
君が私のほおに触れても
温かくないし、感触はない。
みえない・・・透明な君の手
また会えたなら、
君に、強く、熱く
抱きしめてもらうんだ!
親指はさっきの店員で
人差し指はとなりの席のあいつで
中指はお母さん
薬指はテレビの向こうの政治家で
小指は、
思いつかないから君でいいや
だからなんとなく切らないであげよう
夕方に窓を開ける。懐かしい匂いがした
たまに嗅ぐあの匂い 暖かくて香ばしい
そんな匂い そんな匂いを感じて昔を思い出した
今日の午後
午後19時、いつの間にか外暗い。外からは
蛙の声が聴こえてきたよ。少し前まで雪が
降っていたのにもう夏が来た。
雪が恋しい様な去って嬉しい様な。そんな心境
目の奥は海のように広く
深く暗い色をしていた
どんな瞬間も
君が見ていた世界は
ただ1人のものだった
さて
僕達はいつ追いつけるのかな
遠くの空が黒いのを見て
これから雨がふるよと自慢気な君
あそこのビルが低くなって
夕方が空を取り戻した
反響する金属音
自慢気な君は目を細めて
雨しかふらないこの国の
とくべつひどい雨の日に
くるったようにおどりましょう
貴女のまっかなくちびるが
むらさきに変わってしまわぬうちに
ばかみたいにうたいましょう
めったにないほどどしゃぶりの
痛いくらいの雨のなか
なんどもなんどもキスしましょう
まだ見えない幸せを追い求めるよりも
目の前の幸せに気づく方が効率的だと思う
そんなことを思うのは
何か目の前の幸せを失ったから。