まんまるな綺麗な月が一つ。
夜空に浮かんでる。
まるで手の届かない花魁様のよう。
私はりっぱな花魁になれないまま
貴方の影を探してる。
私がりっぱな花魁になる事ができたら
貴方は私の元へ
会いに来てくれるのかしら。
主さん。
どうかわちきに会いに来ておくんなんし。
風がふいて、春もなにもかも吹き飛ばしておくれよ
家も街も電線も揺すって、ごみも葉っぱもなにもかも転がして
そのまま黒潮にでものっていけよ、どこかへいってしまえよ
このままぼくも攫って、どこへでもいってしまえよ
ねぇ、風がふいたら
どこへいきたい?
私と君で過ごした1年
酸味の強いオレンジのような時間と
ほろほろ崩れてしまうクッキーのような関係と
サーカスの綱渡りのような私のココロ
そんな片想いをしていたんだよ
私はそのクッキーを壊すのを恐れて
綱から落ちるのが怖くて
オレンジをかみしめたくて
ずっと言わないでいた
言わないでいたらずっとオレンジがあると
オレンジはなくならないと思っていた
それは間違いだったね
君はオレンジだと思っていなかった
そこは守られた鳥籠の様な場所だった
平穏で何もなくその場所で一生を終える事が
出来るぐらいに安全な場所 でも外に出る事は
許されない。外に出る事に憧れを持った。
でも外には混沌が待っていた。
それと同時に楽しさを知った。
解放されたのだと自信を持った。