ごめんね ごめんね
君はいつも繰り返す
心配してくれてありがとう
でも、もう、本当に大丈夫だから
ありがとう
でもさ、僕、わかるよ
それ、嘘だよね
にこにこ笑ってるけど
本当は泣いてる
ねぇ、泣きたいときは泣いてもいいんだよ
つらいときは逃げてもいいんだよ
君はいつもいつも頑張ってるから
自分を責めることだけはしないでね
誰かに背中を押された…そんな気がした
次の瞬間、声が出た
なぁ、やめろよ、そういうの。
罵声と暴力を浴びせていた
獣たちが俺を睨み付ける
たくさんの観客がこちらを見ている
あ?お前さ、こいつの肩持つの??
…お前もこうなりたいのかよw
…いや、そんなことする暇あったら
購買のパン、買いに行けよ
もう、無くなるぞ?
…ちょっと買ってくるわ
獣たちは一斉に教室を飛び出した
あいつはびっくりしたように
その様子を見ていた
そいつらが去って安心したのか
小さく息をついた
…ありがとう。助けてくれて。
あいつはまた、へらへらと笑った
今にも泣き出しそうな顔だった
たぶん、俺は初めてあいつの笑った顔を見た。
周りがもやもやしている。何かに包まれているようだ。
ここはどこだろう。私はこんな所で何をしている?
「佐々木さーん…」
どこかで声が聞こえる。誰の声?
だんだん視界が晴れていく。
もやがとれて、声の主が現れる、はずなのに。
そこには誰もいない。
「ここは、どこ…?」
私の声は、ふんわりと宙を舞い、やがて溶けて消えた。
足を踏み出した。何故か進めない。
もがいてもがいて、進もうとするのに、一向に前に進めない。
何が起きている?
私はこんな所で何をしている?
もう何も分からない。
頭も心なしかぼんやりしてきたようだ。
「佐々木さーん…」
また誰かが私を呼んでいる。
誰なの?誰?
佐々木、ふと考えた。
いつもの私もこんな感じなのだろうか。
ふわふわしていて、これと言った特徴もなく、言われた事をこなし、頼まれた事を受ける。そうして生きて来た。
いつもの私は、みんながいたからこその私だったのか。
「佐々木さん」と呼んでくれる人がいたから、私は佐々木だったのか。
私は今、誰なのだろう…
佐々木、夢を見た。
そして、佐々木、自分探しの旅を始める。
クラスが同じになって半年が過ぎたね
もう残り半年しかないんだよ
去年の今頃は、君が私に恋をした
そして今年は、私が君に恋をした
すれ違う想いほど憎いものはないよ
でも最近、君が近くにいる事が増えた
私に近づいて来てくれた
あなたの想いを教えてよ
願わくは、君が私に恋していますように