まぶしい夜を縫うように歩く
食パンを咥えて曲がる
出会い頭のドッペルゲンガー
そうだね
社会が悪いよね
悪くない、君は悪くないよ
ナグサメのヤブサメ
射抜かれた心だ
うれしくない最高を更新し続けて
みんなイライラ、喉はイガイガ
いつまでたっても潤わない
部屋と長財布とわたし
砂時計みたいに
逆さまにした海の黒が
滴ってる、塗りつぶしてる
まぶしい夜を消すように歩く
なけなしの魔法を溶かしつつ
帰り道ふと見上げた空
ビルとビルの隙間から
覗くソレと目があった
まんまるにはほど遠い
消え入りそうなひかり
いつもより頼りなくて
ふにゃふにゃしていて
なんだかイライラする
でもなんだか愛しくて
右手でつかまえてやる
左手で両目を擦りつつ
愛おしくて仕方がない
冷えた指先
格好つけたシルバーのイヤリング
「これくらいがイケてるんだよ」って
靴で踏んで汚したダメージジーンズ
恋しくて仕方がない
泣いていると
黙って最後までそばに居てくれたあなた
図書館に誘うと
嫌々ながらついてきてくれて
結局私が勧めた本に夢中になって
閉館時間まで居座るあなた
会いたくて仕方がない
さっきまで一緒に歩いていたあなた
今も
会おうと思えば会える距離にいるあなた
あなたに、あいにいく。