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漂流譚

海に浮かべた満月は
あなたをめざし旅をする
辿りついた頃には
見る影もなく
切った爪のように
欠けていることだろう
あなたは見つけて
掬ってくれるだろうか
それがわたしの想いであると
気づいてくれるだろうか

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サーカス小屋 #ナイフ投げのデュマ

物心ついた時から、僕はナイフを握っていた。
蝶々結びのやり方より先に、ナイフの投げ方を教わった。父は、元・サーカス小屋1の人気者ー"前・デュマ"だ。
僕は、まだ歩くこともままならない頃から、父の後を継ぐ、素晴らしいナイフ投げになることを誓わされた。「1番」というレッテルを貼られて一生を生きることになったのだ。
ただシールで貼られただけだった「1番」は、今ではしっかりと焼きごてで焼き付けられている。
僕は目隠しをしたバニーガールに向かってナイフを投げるたび、涙を流す。みんなはそんな僕を、失敗を恐れる弱虫だと軽蔑する。でも僕は、失敗なんか怖くない。僕が恐れるのは、あの娘が本当は恐い思いをしているのでは、ということだ。だって、自分の身体スレスレにナイフを投げつけられるのだよ?
このサーカス小屋は外とは違う世界だ。
法律も憲法も通用しない。
歌姫もピエロも調律師もいるけど、天国なんかじゃない。
僕は、デュマの息子。所謂ボンボン。
1番人気の父の名を襲名できたのは、父が体を壊して長期療養に入った時期に、たまたま僕が義務教育を終了して、たまたま父の弟子がいなかったから。
本当に、たまたま。運ゲー甚だしい人生。そんなもんだろ。

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お腹いっぱい

お腹いっぱい お腹いっぱい
幸せであったかいモノでいっぱい
お腹いっぱい お腹いっぱい
君が隣に居ればそれであったかくて
お腹いっぱい お腹いっぱい
なんか涙出てきたぁよ


世界の全ては中途半端
どっかの誰かが1週間で作ったから
いらないものがいっぱい
不必要なものがいっぱい
だから大切なモノもいっぱい
あったかいモノでいっぱい
もう一杯一杯


I want more things I don't need.
I already have what I need.
I'm already full.
I don't want dessert.


お腹いっぱい お腹いっぱい
ホカホカでポカポカなモノでいっぱい
お腹いっぱい お腹いっぱい
君の作る酢豚が美味しすぎてさ
お腹いっぱい お腹いっぱい
なんだよ嬉し泣きか驚かせんなよ

世界の人々はみんな違う
どっかの誰かがリンゴを食ったから
違うものでいっぱい
イザコザでいっぱい
だから面白いものでいっぱい
君や僕でいっぱい
もう一杯一杯


I want more things I don't need.
I already have what I need.
I'm already full.
I don't want dessert.


いっぱいだからね笑えるんだよ
いっぱいだからさ泣けるんだよ
いっぱいだから君を探したんだ
いっぱいだから君に会えたんだ


世界は何でこんなに違ってさ
世界は何で要らないものばっかりなの?
なぜだと思う?…それはね
君が選べるようにしたからだよ 

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君が寄越した
小さな嘘でさえ
私は抱えて生きているのに

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即興のやつ。

ねぇねと声をかけたなら
意識だけに住み着いた私
ねぇ体を向けてよ、ねぇ。
私は貴方の肩を叩いた

あ、うん。

それっきりもう何も無いのね
あーもうやだ、な。
もっかい肩に触れるから
今度はちゃんと構ってな。

ハイハイハイ

でもう終わり
まぁ私が全部悪かった。な。
構って欲しがり屋を止められないの
それに乗っかる激しいシーソー
情緒も有ったモンじゃない
もうやめたいなぁこんな私も
そんな事を思うのもまた情緒の気紛れさんが。