人の書いた文章は魅力的に見えるのに
自分のはどうしてこうも
「駄作」
にみえるのかね
ちっとも面白くないし、拙くて読みづらい
あーあーあー 才能欲しい。
賢くなりたいと言って スマホをいじり、
幸せになりたいと言って ため息をついた。
ひどい話だ。
目を閉じて
下を向いて
嗚咽
口を開けて
上を向いて
泣き叫ぶ
目を閉じて
しゃがみこんで
泣きじゃくる
朝起きて
目があって
涙も拭かず
破顔
破顔
笑顔
君
時刻はおよそ午前2時。点滅する街灯が不気味に照らす仄暗い交差点を、安全確認もせず全力疾走で突っ切る。どうせ車など通らないのだから問題無い。
しばらく走ると、ある団地の一棟が目に入る。ちょうど良い。その階段を駆け上り、一階と二階の中間に座り込む。呼吸を整えながら外の様子を確認する。どうやら今のところ、追ってくる気配は無いようだ。
「……上手く撒けたかな。もうこれ以上追いかけてこなきゃ良いけど。しかし、こんな時間に来るとか、常識外れも良いところだよな」
「はい、そうですね……ッ!?」
叫び声を上げそうになるが、声の主が咄嗟に口を塞いでくれたので、どうにか堪えられた。
声の主は、私より少し歳上の、痩せた頼りない男だった。髪も髭もろくに手入れしておらず、季節と合わない、薄い古ぼけたロングコートを羽織った男。あまり一緒に居たくないタイプの奴だ。
一体誰なんだ、と目で問うと、男は懐からスマートフォンを取り出し、何やら打ち込んでから見せてきた。
『ただのオカルトマニアだ。よろしく』
口から手を離してくれたので、とりあえず会釈する。
『君が何に追われているのか当ててやろうか』
「わ……分かるんですか?」
小声で言い直す。
『分かる。いや、分からない。正体を問われると、憶測と出鱈目ばかりになりそうだ。けど、どの物語かは分かる』
どういうことだろう。
今
更
だ
け
ど
気
が
つ
い
た
私
は
所
詮
空
気
で
し
か
な
か
っ
た
い
つ
も
い
つ
も
付
き
纏
っ
て
ご
め
ん
ね
空
気
の
声
は
届
か
ぬ
ま
ま
空
間
に
溶
け
た
夕焼けを追いかける
あなたを追いかけ
放課後の土手 自転車で走る
白シャツは色を失くし
逆光の妖精 燃える輪郭から
飛びこんでくるの
オレンヂのままで世界を止めて
シャッターを切りたい
瞼の裏に焼きつける一枚のネガ
夕焼けを追いかける
あなたの影の長さ
さよならまでの 時を教える
前をゆくシルエットが
遠ざかるたび はやる心から
愛は生まれくるの
永遠にしたい一瞬を切り取って
人は大事に持ち続ける
美しい景色ほど色褪せるから…
フレームの数だけ思い出もまた
1コマずつふえてゆく
そっと胸にしまった一枚のネガ