成績はそこそこ、勉強は嫌いじゃない。
でも、学校は嫌い。
みんな楽しそうに笑ってる。
わざわざ、学校に行かなくてもいいじゃん。
自分で勉強すればいいじゃん。
そしたら、どこに行こうかな。
行く場所あるかな、家だけかな
勉強するかな、ちゃんと
歌が聴きたいな、君の好きな歌
誰かと居たいな、あったかい人がいいや
大事な人のために、学校、行かなきゃな
「あっ!先生〜!!」
廊下で先生を見つけたので駆け出す。
『何だ?』
「ん〜、特に用事がある訳ではないかなぁ〜。」
『次は昼休みだろう? ぶらぶらするか?』
「その前にご飯、一緒に食べよっ!!」
そう言ったとき、向こうから他の教師が来るのが見えた。
「あっ……。ちょっと失礼しま〜す。」
先生が着ている丈の長いローブの中に潜り込む。
『おい……。』「先生、しっー!!!」
『まったく。しょうがないな。』
先生が壁に向かって少しずつ後ずさり、持っていた教科書を窓辺に置く。
向こうから来た教師が近づいてくる。
先生の前で止まると“どうかしましたか?”と声をかけた。
『いや、教室に忘れ物をしたような気がしたのだがポケットに入っていた。』
そう言うと、ポッケの中から教師全員が使っているチョークの入った箱を出した。
“気をつけてくださいね”
『あぁ。』
そんな会話が聞こえた後、遠のいていく足音が聞こえた。
『もういいぞ。出ておいで。』
「ぷはぁ! 先生、魔法使った?」
『彼奴は視野が狭い。魔法なんぞ使わなくても君を隠せるさ。』
「ふふ。ありがとう。しかも先生、チョークなんて使わないのにねっ(笑)。」
『……君は私には話しかけるのに、何故他の教師には懐かないんだ?』
「犬とか猫みたいに言わないで!なんでって嫌いだからよ。単純でしょ?(笑)」
イタズラに笑う。
『まったく君は。』
「“まったく”ってさっきも聞いた!ほら、ご飯いこう!!」
『まったくもって可愛い生徒だ……。』
そう呟いているのが聴こえた。
こういう事を言うから私は先生が好きだ。
けど、恥ずかしかったから聴こえないフリをした。
「ほら!早く来て!!!私の事ちゃんと見てくれるの先生しかいないんだから!!」
『わかった、わかった。さぁ行こう。』
私は昔、教師の言葉で傷ついていた。もちろん今もだが、全人種“教師”は全く同じ事を言う。
だが、昔いろいろあった先生はイジワルはするものの、命の恩人だった。
そんな先生をキライにはなれなかった。
私達は予定通りご飯を食べ、広い校舎をぶらぶらした。
春の風が心地良かった。
しばらくウロウロしていると、だんだん疲れてきた。それは彼女も同じだったそうで近くの人通りが少ない公園で一休みした。
「楽しいね~。こんな日が来るなんて…」
「うん。そうだね~。私も思ってなかったよ。君がこんなこと言うから」
「怒ってる?」
「ううん。怒ってないよ。意外と楽しいな~って思って」
「良かった」
…。向こうもこっちも話すことがなくなった。何となく黙った方がよさそうだった。なぜだか分からないけど私は彼女が喋り出すまで黙っていようと思った。
「あのね、暗い話していい?」
「ん?いいよ」
やっぱり。
「なんか、私嫌われてるみたい。部活で、物がなくなったり、無視されちゃったり」
「…」
「やっぱり私ってそういうタイプなんだよね。だから嫌われるんだよね」
最後の方は声が震えていた。横並びだから顔は見えないけど、何となく、分かる。彼女は下を向いて涙が出ているであろう顔を手で覆った。私はそんな彼女が落ち着くまで待った。
「ありがとう。話してくれて。分かったよ。…君、今、辛いか?」
「…うん」
「そっか。じゃあ、私が守ってあげる。大丈夫だよ」
私は彼女の肩をそっと抱いた。
バレンタインが近づくから
どんな風にチョコ渡せばいいかなって
お風呂の中でシュミレーション
「君がバレンタインにチョコをあげるような相手に1番近いかなって思って」
なんて
そんな素直じゃない言葉